point  渋沢栄一生地
 
奥秩父から深谷までは、R140を真っ直ぐなので比較的わかりやすい。ナビはないので、地図を頭に入れて走るのだが、地名の位置関係がよくわかってないので、方向を間違えると大変なことになる。このときも長瀞の先、秩父鉄道を走るSL列車の後部車両が見えたところで皆野寄居有料道路の標識があったので、迷った末に右折した。実は秩父でだいぶ時間を使ってしまい、予定より遅れていたので、少しでも時間を稼ぎたかったのだ。ところがこれが大間違いだった。バイパスのつもりで乗った有料道路を出ると、その先が秩父という案内になっていた。「ひょっとして、方向が反対か?」仕方なくバイクを路肩に停めて地図を確認すると、有料道路を逆に走ってしまっていたことがわかった。時間短縮どころか、元いた所まで戻ってきていた。「ショック!」結局、たった今来たばかりの有料道路を往復して元に戻るしかなかった。目指すは渋沢栄一記念館なのだが、これがまた曲がってばっかり。幸い道沿いにかなりの数の道案内が出ていたので何とかなったが、帰り道が覚えてられなかった。案の定、次に向かう道は、迷ってしまった…。
 渋沢栄一は、「論語と算盤」を読んで以来、心の師である。分相応に生きよと説いた「蟹穴主義」に賛同である。「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢氏は、500余の企業設立に携わったといわれていて、今年、世界遺産に登録された富岡製糸場(群馬)の設置主任でもあった。当時、渋沢氏は大蔵省に在籍していたが、養蚕や蘭玉づくりを営む農家の出身だったことから、製糸場設立の仕事を任されたようである。ネギの産地としても有名な深谷に、渋沢家の旧邸と記念館を訪ねた。なんとも長閑な農村地帯である。ここから世界へ羽ばたいていったのかと思うと、静かな感動を覚える。旧渋沢邸に隣接して青淵亭(青淵は栄一の雅号)というお店があったので、名物の煮ぼうとうを食べた。田舎の味が素朴で美味しかった。


point  川越・蔵の町
 花園ICから関越自動車道に乗り、川越ICを下りて市街地に入った。さて、そこから先がわかりにくかった。同じ道を何度も行ったり来たりして、ようやくのことで市役所の駐車場を見つけることができた。極ありふれた街並みの路地を一本入ると、そこは別世界だった。商人の町として栄えた江戸時代の風情を再現した町並みは、謂わば、江戸風アウトレットのよう。ちょうど歩行者天国の時間帯だったので、銀座中央通り顔負けの人出で賑わっていた。シンボルにもなっている「時の鐘」が15時を知らせた。「残したい日本の音風景百選」の音である。川越と言えば芋!芋ソフトを食べたり、芋菓子のお土産を買ったり、ぶらぶらしているだけで楽しいところである。18時までにバイクを返却しないともう1日借りることになるので、そろそろおいとますることにした。
 今回は、目的地を3カ所巡る「3ポイント・ツーリング」という企画を考えてみた。スタンプ・ラリー的な遊びで、3カ所を選ぶところから旅が始まっている。時間内に戻ってこられるかというドキドキ感もあって、思った以上に楽しめた。ちょいちょいやりたいが、案外、すぐ1年が経ってしまう。また、来年。今度は、どこへどんなバイクで行こうか、リターンライダーの旅は、当分続きそうである。


平成26年11月3日(祝)
KAWASAKI NINJA400
走行距離 446km
燃費 28.4km/L

Three Points Touring
in
Saitama.

point  奥秩父
 
「いつ、行こうか?」バイクレンタルの機会を伺ってるうちに春が過ぎ、夏もあっという間に終わって、ふと気付けば秋も深まり、木枯らし1号も吹いてしまっていた。寒くなる前に行くなら11月頭の三連休がラストチャンスだろう、と週間予報をチェックしていた。幸い、1日(土)、2日(日)が晴れ予報だったので、2日にバイクを予約した。ところが2〜3日すると2日が雨予報に変わってしまったので、1日に予約を変更した。ところがその翌日、1日も雨に変わり、1〜3日までずっと雨になってしまったため、用事が入っている翌週をとばして半月後に変更。すると、さらに翌日の予報では、2日〜3日が晴れに戻ったので、3日に予約を変更した。しかし、その翌日の予報で2日は再び雨に変わった。文字通り、「女心と秋の空」であるが、3日は晴れ予報のままだったので決行することにした。毎度のことながら、ツーリングの日程調整は天気予報に翻弄される。「よし行くぞ!」と盛り上がった気持ちを必死に抑えたり、もう一度高めたりを繰り返すのは結構しんどいが、バイクに乗る以上は避けられない、一種の儀式のようなものである。擦った揉んだの甲斐あって、3日(文化の日)は特異日らしい晴天、かつ温暖な日和となった。

 話の糸口として、「好み」というのはとても興味深い話題だ、と常々思っている。人それぞれに違った好みがあり、その理由を尋ねるのはなかなか楽しい。今回レンタルしたバイクは、いわゆるレーサーレプリカの類で、実は全く好みではない。余程迷ったが、こんな機会でもなければ一生乗らないだろうと思って、借りてみた。派手な外観とは裏腹に、とても素直で乗りやすいバイクだった。ただし、その風采は伊達ではなく、どの速度域からでもずば抜けた加速力があり、かなりの高速であっても振動は最小限に抑えられ、安定走行が可能であった。その辺り、僕が長年乗っていたオフロード車とは、別格であった。

 午前4時起床。前日の雨で大気が澄んでいたせいか、星空がとても綺麗だった。犬の散歩を終え、軽食をとり、家を出たのが午前5時。今年6月に開通した圏央道、海老名ICから北上し、入間ICを下りてR299を西へ行くと、巨大なループ橋が見えてきた。橋の上は走っていて怖いくらい壮観な眺めだった。ループの先に滝沢ダムがあって、そのさらに先が奥秩父だった。ちょうど紅葉のピークで、たくさんのカメラマンがシャッターチャンスを狙って、高そうな愛機を構えていた。被写体は動くことがないのにシャッターチャンス!たぶん、陽の光が刻々と変化するから、「最も美しい瞬間」を狙っているのだろう。