Trip to Bali 2012

 「いつかはバリへ」という思いがいつからのものだったか定かではないが、かなり前である。かれこれ20年近く前からかもしれない。今回、旅行することに決めてから、「なぜ、バリ島なの?」と何人かの人に訊かれたが、僕が心の中で感じている憧憬をうまく言い表すのはとても難しい。手っ取り早いのは、1994年に放映されていたJAL「I'LL」のバリ島CMを見てもらうのが近道かもしれない。YOU TUBEのお陰で当時のCMを見ることができるが、やはりいい。バックで流れるブームの「Berangkat〜ブランカ」にも使われているガムランの何とも不思議な音色、エキゾチックなバリ舞踊、幻想的でさえある寺院や美しい海。このCMで感じたことが潜在意識に強く影響しているのは間違いなさそうだ。
 その頃、バリ音楽やバリ舞踊のコンサートに行ったりしていて、「いつかはバリへ」という思いはずぅ〜っとあったのだが、やはり社会人というのはそうそう暇ではない。それに、若い頃はそうでもないが、段々と腰が重くなってくる。何でも見てやろうという情熱も、少しずつではあるがしぼんでくる。それはそれで自然の成り行きなので、無理して頑張る必要もないだろう、なんて都合よく考えるようにもなってくる。が、まだバリへの思いがある。思い立った以上は、行くと決めた。
 いきなりのバリ島宣言を聞いた家族は、寝耳に水、馬耳東風、あまり本気にもしてない様だった。「この暑い最中、さらに暑いところへは行きたくない。」と熱中症を頻発しているカミさん。「電車がないところへわざわざ行きたくない。国内で十分!」と電車好きの息子。まさに暖簾に腕押し、というよりむしろ反対に近い反応だった。大体、宣言した自分自身が、ちょっと面倒臭いのである。日程調整も大変だし、どういうプランにするかそれなりに調べなければならない。海外となると、治安も心配だし、変圧器などの準備もある。円高とはいえ、先の見えない不況の中で、大金を使うことへの抵抗感もなくはない。もし誰か一人でもパスポートの有効期限が切れていたら、その時点で「じゃあ、また今度にしようか」になっていた可能性が大だった。大ではあったが、有効期限はみな残っていた。「ならば行こう!」そうと決めてしまうと、もう後に引く気になれないのは、いつものことである。家族誰一人の賛同もないまま、一人勝手にバリへの思いを高めていった。

1 バリ以前

photo:plumeria