SCNE 7
 
 
 
 
ENTERTAINMENT
 
 Kとの劇的な再会後、その足でAlamoへ行き、レンタカーを調達した。シボレーの中型車で新車同様だった。喜び勇んで夜のLAを走り、近くのモーテルに入る頃には、午前0時を過ぎていた。部屋に入ってようやく緊張がほぐれる。と同時に、ドタン!と倒れるように、僕らは眠りに落ちた。
 Kは、高校1年のクラスメイトだった。
入学して間もない頃、Kが透明な下敷きにダイアン・レインのピンナップを挟んでいるのを見て声をかけたのがはじまりだったと思う。それから3年間、僕らはサイコーの「映画の友」だった。机の引き出しには、常時2、3枚の前売り券が入っていて、ロードショーから古いモノクロ映画までトコトンのめり込んでいった。
そんな二人だったので、翌日はユニバーサルスタジオへ直行だった!。
ここにはハリウッド映画の巨大なオープンセットや映画を題材にしたアトラクションがいっぱいあって、映画好きの僕らを大いに喜ばせた。実物大キングコングやノーマン・ベイツの家、「E.T」のセット、本物の爆弾を使ったマイアミ・バイス・ショーなどなど…。すべてがアメリカサイズの大迫力だった。
 楽しすぎるほどの1日を過ごしたその帰り道、なんとトラブルが発生した。
例の新車のシボレーがどうにも調子が悪く、何度かエンストしていたのがついに大通りの真ん中で止まってしまったのだ。何しろ大きな道路だったので、慌てて僕が外に飛び出し車を押していたところ、たまたま近くを若い黒人が通りかかった。
彼は僕らに気付くと、食べかけのハンバーガーとコカコーラを地面に置き、全く当然のことをするように僕の隣に並んで車を押してくれた。無事に道路際までたどり着くと、礼を言うのもそこそこにその青年はまたハンバーガーを食べながら去っていったのだった。
「これぞ、ボランティア!」
颯爽と過ぎ去っていく彼の後ろ姿を目で追いながら、うれしさが込み上げてきた。
黒人が怖いなんてとんでもない。LAの空港でも今度も黒人に助けられて、黒人に対する偏見はふぅ〜とどこかに飛んでいってしまった。
 新車同様だったシボレーは、結局故障していて、また別のシボレーを借りることになった。今度のはガックリするほど古い型だったが、かなり走り込まれていた分、エンジンの調子はすこぶるご機嫌だった。