SCNE 4
 
 
 
 
「人種のるつぼ」
 
 翌日は、早朝からバスに揺られた。「STARLANE TOUR」というバスツアーで、ヨセミテ国立公園まで往復10時間の小旅行。ヨセミテはカリフォルニア州からネバダ州にかけて広がるアメリカで最も人気のある国立公園。岩が有名。中でも世界最大の一枚岩「エルキャピタン」は、高さ1095mの巨岩である。
このツアーに、乗客は日本人6名を含む9名だけ。ドライバーは普段着のままで、言われるまで乗客と見分けがつかなかった。ドライバーはガイドも兼ねていて、道中しゃべり通しだったが、悲しいことにほとんど聞き取れなかった。
 夕食は、「TAD'S STEAK」というステーキハウスへ行った。巨大な肉と巨大なポテトを巨大な店員が運んできて、すごい迫力!これで$6.2はかなり安い、と一瞬思うが、味はとても淋しい。ガブリ!と食いついたときの「じゅわ〜」がない。付け合わせのポテトも大きいだけで淡泊な味わいだった。
 次の日は、ふたたびダウンタウン探索。3日目で慣れもあり、一人でも動いた。いろいろあった。ちょうど一人で歩いているとき、ラテン系のおっさんに声をかけられた。スペイン語だろうか…。「???」やたら陽気に話しかけてくる。
「エスタルセン・ニルス・ノー・プロブレム」と聞こえたが意味は知らない。両手で空に球を描き、盛んに同意を求めてくる。こちらはただただ「ジャパニーズ・スマイル」。
結局、何も意志疎通できぬまま、なぜか握手をし、別れ際には抱擁までした。
満足げに去っていくおっさんの足は、千鳥足。酔っぱらいだったのだ…。
 しばらくすると今度は、アメリカ人に道を訊かれた。マサチューセッツから来たというおじさんが僕らに道を訊いたのは、まさに僕ら自身が道に迷っているときだった。
「日本から来てまだ3日目」と言ったら、さすがに「オー・マイ・ゴッド!」と頭を抱えていた。
 街を歩いていると、いろいろな人種を見かけた。はじめは日本人であることを意識していたが、やがて気にしなくなった。アメリカは移民の国だ。人種のるつぼ。包容力とも見えたし、他人に無関心とも感じられた。ちなみにホモが多い街だと、「地球の歩き方」に紹介されていた。