飛行機の中で夜になり、しばらくして短い夜が明けた。
小さな窓から朝焼けがとても綺麗に見えた。
「ポンッ!」シートベルト着用のサイン。飛行機が下降しはじめ、着陸体勢に入る。いよいよである。厚い厚い雲をくぐり抜けると、そこにアメリカ大陸が現れた。
「ついに、来たー!」
言葉にできない感動、言葉では足りない興奮が、全身を走る。
1990年2月27日午後3時に成田を出発し、サンフランシスコ到着が同じ2月27日の午前6時。時間は8時間ほど経過していたが、時刻は逆に9時間前に戻っている。身体はそろそろ眠ろうかというときに、新しい朝がはじまった。
生まれて初めて体験する「時差」に、頭と身体は、完全に寝惚けている。
「腕時計を現地時間に合わせる」ようにはいかない。
空港には現地添乗員が迎えにきていた。右も左もわからず、ただ言われるがままに7人乗りシャトルバスに詰め込まれた。どこをどう走ったのか全くわからない。
ガタガタとやたら激しく揺れるうえ、エンジンが壊れそうなくらい唸っていたが、加速はよかった。30分ほどで目的地に着いた。
バスは、中心街にある「POWELL HOTEL」の前で僕らを落とした。
今晩泊まるホテルはまずまずのようだった。部屋はツインになっていて、I君という学生と一緒になった。また、隣室のS君は、同行するはずの友人が突然来られなくなり、急遽一人旅だという。そんな行きがかりで、取りあえず3人で街に出ることになった。
街に一歩出ると、もう坂がある。サンフランシスコは、「坂の街」なのだ。だから、「ケーブルカー」なのだ。少しずつ、アメリカを感じる。
ふと見上げると、紺碧の空が広がっていた。日本と似て非なる空の色。
「アメリカに来たんだな〜」という実感が、ゆっくりとじわ〜とやってきた。