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SCENE 20
「TWO FRIENDS」
ルーキスの家を出たときには、もう午後11時を回っていたが、町はまだにぎやかだった。カートと別れてから、「TWO FRIENDS」というジャズバーを覗いた。店内だけでなくテラスにも席があって、道端からでもジャズの演奏を聴ける。結構年輩の夫婦などもいて、みな思い思いのひとときを楽しんでいるようだった。
「TWO FRIENDS」。マイアミで知り合ったI君とK君。今夜知り合ったカートとルーキス。それぞれの「二人の友達」と出逢ったことが本当にうれしかった。そして、このジャズバーのような開放感、自由な雰囲気、人生の楽しみ方こそ、自分がイメージしているアメリカそのもののように思えた。
翌日は、寝坊した。3月16日の太陽は、すでに高く昇っている。12時にカートと「TWO FRIENDS」で待ち合わせをしていた。僕らが今日帰るというので、昼食を一緒にする約束なのだ。予定通り、カートはワーゲンで現れた。
まず、島の端のスーパーで買いだし。トマト、マッシュルーム、タマネギ、瓜、レタス、ブロッコリー、豆腐など、メニューはカートにお任せ、費用は割り勘。食材をもって、隣の「Stock−island」へ行った。ここはスプリング・ブレイクで来ている人も少なく、とても静かな浜辺だった。ヌードルに野菜、ペッパー、塩で味付けして出来上がり!カートは、地面に落としたものでも「ふ〜!」と息を吹きかけて食べてしまう。ときどき砂がジョリジョリしたが、味は予想以上に旨かった。
食後、カートが弾き語りをしてくれた。自作の曲も25曲くらいあるという。その中で「ブッシュ」を歌ってくれた。ビリー・ジョエルの「ピアノマン」やニール・ヤング、ピンク・フロイドなど、僕ら3人のためだけにカートが歌う。
「Stock−island」からの帰り、片手に包帯をしたヒッチハイクの男の人を乗せてあげた。見知らぬ人とでもカートは楽しそうによくしゃべった。考えてみれば、僕らも昨日までは見知らぬ人だったのだ。カートといると、みんなが友達になってしまう。「今度、日本に行くよ!」と別れ際にカートが言った。カートなら本当に違いない。
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