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SCENE 11
「絵と銀幕の世界」
アリゾナ州のFragstaffという町で2泊することにした。
車社会だけあって、どこにでもモーテルがある。ここで泊まった"Saga MOTEL"は、とても綺麗で広くて、しかも1泊$13(1500円程度)と格安で、オススメである。
3月7日、火曜日。天気はさらによいが、寒いところである。
朝8時に出発するとき、Kが持ってきた温度計は0℃を指していた。
運転は、もっぱらKがした。前日のショックで、僕はしばらく運転したくなかった。荒野の中を延々と道が続く。サービスエリアというようなものはなく、ただ延々と走るだけであるが、景色も微妙に変化するのでドライブには飽きなかった。
目指すグランド・キャニオンは、大平原の中に、突如、出現した。
「まるで絵のよう」である。
あまりに大きくて実物じゃないみたいな気もした。精巧に書かれた絵画を目の前に置いて見ているようで不思議だった。峡谷とはいえ、全長はなんと446kmと東海道くらいの広がりがあって、深さも平均1600mと、世界一高いシアーズタワーより遙かに深い。よくよく下の方を見ると、豆粒のような人間の一行が見えた。人間が、ここからは、蟻より小さく見える。
その蟻より小さい人間が、摩天楼を造ったり、映画を発明したり、宇宙へ飛んだりしているのだから、人間の創造主もさぞ面白がっているだろう。小さい小さい人間が意外に頑張るじゃないかと、けなげにも思えて、なんだか少しうれしく、少し可笑しかった。
グランドキャニオンを後に再び荒野を走る。途中、偶然にもKの友達カップルと一緒になった。全く、この広いアメリカで、驚くべき出逢いであった。
夕方、ユタ州のモニュメント・バレーに到達した。西日が当たって、赤い大地がメラメラと燃えていた。ぽつねんとそびえる自然が作った摩訶不思議な構築物。西部劇の「駅馬車」や「荒野に七人」のテーマ曲が浮かんで、なんだか懐かしくなった。
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