SCNE 10
 
 
 
 
「英会話」
 
 翌日も晴天なり。この日はフリーウェイをひたすら東へ走り、都会を離れた。
運転しながら聞いていたカーラジオが、車が東へ進むにつれて雑音になり、やがて聞こえなくなった。別のチャンネルを捕まえてもやがて、同じように遠くなって消えて、最後はカントリーミュージックを延々と流しているチャンネル1つが残った。
周りは赤茶色に渇いた砂漠地帯。車もほとんど走ってないフリーウェイが1本伸びているだけの、果てしなく広い広い世界であった。
 Kingmannという町で昼になった。ここで僕はKに”TACO BELL”を紹介された。アメリカでは一般的なメキシコ料理(タコ)のファーストフード店である。実は、UCLAでトスターダを食べてから、すっかりタコのファンになっていた。
 事件1。ここの店員は早口と訛りがきつく、ほとんど見当で会話をしていた。
「ご注文はこれだけですか?」と聞かれたと思い、OKしたら、注文してないシナモンと砂糖をまぶしたスナックが出てきてしまった。「何か、甘い物でもいかがですか?」と聞かれていたらしい。
 言葉がわからないと、本当に不安である。旅の楽しさも旅先の出逢いや交流も会話が基にあって成り立つもので、やはり英会話だけはやっておくべきだったと痛感させられた。そして、事件2が起きた。
 制限速度65mile/hr(約100km/hr)は知っていたが、あまりに立派な道なので、80mile/hr出していた。ここ数時間ピッとも言わないレーダーが、一瞬のビビビ!で最高レベルまで一気に反応した。「スピードガンの狙い撃ちだ」とKが言ったのと、前方に隠れていたパトカーが現れるのとが同時だった。。車を停めると、僕はパトカーに乗せられ、自分の2倍もありそうな大男の警官に尋問を受けた。ここでも質問がよくわからず、何度も聞き直しているうちに警官も苛立ちを隠さない。体重、身長をkgやcmで答えたら、全く呆れたという顔で僕の体つきを見ながら、適当にポンドやフィートで記入していた。恥ずかしいやら怖いやらで、とても悲しかった。