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「タイピスト!」
-Typist!-
50年代、実際にあったタイプライター早打ち大会をモチーフにした物語。
田舎暮らしをしていたローズ(デボラ・フランソワ)が都会に憧れ秘書として採用されるが、
ドジで不器用で失敗ばかり。
わずか1週間でクビを宣告されるが、1つだけ望みをつなぐ条件が提示される。
それが、タイプライター早打大会で1位になること。
猛特訓あり、恋の駆け引きあり、手に汗握る闘いありで、ふと「ロッキー」(76)を見ている気分になった。
それにしてもお洒落な作品である。
音楽も完璧だし、衣装や車などが微に入り細に入り再現されていて、
50年代フランスのスタイリッシュな世界にどっぷりつかれる。
何よりヒロイン役のデボラ・フランソワがいい!
田舎娘の素朴な雰囲気が大会で成功を収めるうちに階段を駆け上がるように洗練されていく様が、
とてもキュートに演じられていた。
デボラはこの役のために、1日2、3時間のタイプライターの練習を3ヶ月間続けたというからスゴイ!
プロデューサーのアラン・アタルは、「オーケストラ!」(09)をヒットさせた大物らしく、
撮影などにはアカデミー賞5部門を受賞した「アーチスト」(11)のスタッフが結集している。
個人的に「アーチスト」はさほど面白くはなく、今作の方が10倍楽しめるように思う。
レジス・ロワンサル監督は、これが長編映画監督デビューだが、
デビュー作で大傑作を作ってしまうというケースがたまにある。
今年(9月6日)、長編映画の引退を宣言した宮ア駿監督のデビュー作も、
かの名作「ルパン三世 カリオストロの城」(79)だし、
三谷幸喜の「ラヂオの時間」(97)も然り。
この作品、見ている間ずっと幸せな気持ちでいられるが、
とりわけエンディングが素晴らしかった。
タイプライターの新しいアイデアを思いついたフランス人たちが、
アメリカの企業にあっさり教えてしまうシーン。
「折角のアイデアをなぜ、教えてくれるんだ?」と訊くアメリカ人たちに対して、
「アメリカはビジネスの国。フランスは恋の国だからさ!」
間違いなくハッピーな気分で劇場を出られる傑作である。
DATA
仏映画/2012年/111分/シネスコ/5.1chデジタル
監督(レジス・ロワンサル)/脚本(レジス・ロワンサル、ダニエル・プレスリー&ロマン・コンバン)/
製作(アラン・アタル)/音楽(ロブ&エマニュエル・ドーランド)/
出演(ロマン・デュリス、デボラ・フランソワ、ベレニス・ペジョ、ショーン・ベンソン)/翻訳(松岡葉子)
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