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「つみきのいえ」
−La maison en petits cubes−
第81回米アカデミー賞短編アニメ映画賞を受賞した作品である。
海面上昇で水没しそうになった家の屋上に家を建て、
さらに海が上昇すると積み木のように建て増しを繰り返す「つみきのいえ」に住むお爺さんが主人公である。
部屋の壁に飾られたたくさんの写真に囲まれながら、
お爺さんは独りで暮らしている。
1日1杯のワインと3回の喫煙が亡くなったお婆さんとの約束。
ある日、大切に使っていたパイプを床下の海中へ落としてしまう。
お爺さんは意を決して、パイプを探しに下の家へ潜っていく。
見つけたパイプを拾おうとすると、パッと浮かび上がる記憶。
さらに下の家に潜ると、もっと古い記憶が蘇る。
このテイストは、「カールじいさんの空飛ぶ家」の導入部分とよく似ているが、
本作の方が先に作られているから、「カール…」に影響を与えたのかもしれない。
絵本のような味わいのある絵と優しい音楽がとてもマッチしていて、
あっという間にこの独特の世界観に引き込まれてしまう。
オリジナルは絵と音楽だけだが、日本版にはナレーション・バージョンもある。
ナレーションがなくても十分に想像できるし、あればあったで、より理解しやすい。
人生を積み木に例え、それがわが子の積み木遊びとリンクしている辺りもよかった。
下の家が上の家を支えているように、今日の日は過去のたくさんの日に支えられている。
お爺さんの人生が多くの人々によって支えられてきたという意味もある。
見る人によっていろいろなことを思ったり、考えたりするだろう。
理屈よりも感性に響いてくる作品である。
この作品の製作会社「ロボット」は、テレビ広告やweb広告などの広告制作を母体にし、
岩井俊二監督の「LOVE LETTER」(95)から映画制作にも携わっている。
その経営理念「エンタテイメントを通じて、勇気と希望を社会に与えていく」を実現するために、
「ひとりひとりの創造性を経営資源と捉え、それを自由に発揮し自己表現できる環境をつくる」を
経営姿勢として明文化している。
作品がもっている温かさや優しい強さがこういう会社で制作されたことに納得である。
日々をそういう気持ちで仕事をしたいなと、ちょっと羨ましい気持ちになった。
DATA
日本映画/2008年/12分/監督(加藤久仁生)/製作(日下部雅謹、泰祐子)/
脚本(平田研也)/音楽(近藤研二)/声の出演(長澤まさみ)
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