「トラッシュ!」
−TRASH!−
舞台は、ブラジル・リオデジャネイロ郊外のスラム街。
大量のゴミ捨て場で、人々は換金できそうなものを拾い集め、日々の生活の糧にしている。
ブラジルには実際にジャウジン・グラマーショという巨大なゴミ山があり、
リサイクル品の収集で生計を立てている人々がいるそうだ。
主役の3人をスラム街に育った無名の少年たちが演じていることもあって、
作品のトーンはちょっとドキュメント・タッチである。
ある日、ラファエル少年(リックソン・テベス)がゴミ山で拾った財布が大きな事件に関係していて、
少年らは命を狙われながらも、謎を解き、正義のために戦う。
相手は巨大な権力や警察で、微力な少年らは一捻りで押しつぶされそうになるのだが…。
スティーヴン・ダルドリー監督は、前作「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(08)がよかった。
アスペルガー症候群の少年が、9.11の悲劇に見舞われた先に希望を探し求める作品で、
心が張り裂けそうなくらい辛く悲しい話ではあったが、微かに希望がみえるラストが感動的だった。
脚本のリチャード・カーティスは、昨年(2014年)のマイベスト1に選んだ「アバウト・タイム」の監督・脚本である。
この人の書く物語は、現実的な中に少しファンタジー色を含ませる感じがいい。
本作で描かれているのは、今の世界に在る様々な理不尽や矛盾である。
大人の不正によって子供らが犠牲になったり、
必要以上に富める者がいる一方で極貧の生活を強いられている者がいたり、
それは、未解決のまま放置され、捨て去られている世界の「ゴミ問題」と云える。
散らかったゴミ山に手をつけるには、何かモチベーションになるものが必要で、
それが「希望」なんだと、この作品は言ってるように思える。
今年は戦後70年の節目である。
戦争体験者が徐々にいなくなり、記憶の風化とともに、新たな火種ががあちこちに生じ始めているように思える。
過激派組織ISは、テロによる無差別殺人を繰り返し、歴史的文化財の破壊活動も行っている。
ナイジェリアのボコ・ハラムは、村を襲撃し、連れ去った少女を性奴隷にしているという。
一体どんな宗教がこうした残虐行為を認め、奨励しているというのだろうか。
しかしながら、加害者というのは、案外、被害者であったりもする。
卵が先か鶏が先かの話は、常に堂々巡りし、泥沼化してしまいがち。
今作は正義の勝利で集結するが、現実はなかなかこうはならないだろうと思ってしまった。
DATA
英国映画/2014年/114分/スコープ・サイズ/
監督(スティーヴン・ダルドリー)/脚本(リチャード・カーティス)/原作(アンディ・ムリガン)/
製作(ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー他)/音楽(アントニオ・ピント)/
出演(ワグネル・モウラ、セルトン・メロ、ルーニー・マーラ、マーティン・シーン、リックソン・テベス、ガブリエル・ウェインスタイン、エデュアルド・ルイス)