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「サマータイムマシーン・ブルース」
−SUMMER TIMEMACHINE BLUES−
とある大学のSF研究室の部室に、突如、オモチャのようなタイムマシーンが現れる。
原始時代へ行こうかジュラ紀に行こうか、部室は大いに盛り上がる。
もちろん誰もが偽物だと思っていて、冗談半分に「とりあえず昨日」へ行くことになる。
そんなわけで「BACK TO THE 昨日!!!」なのだが…。
かつてH・G・ウェルズが「タイム・マシーン」を創作したのが1895年で、
以来数多くのタイムトラベル映画が作られてきた。
とりわけR・ゼメキス監督の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は、
過去の世界に関わることで自分自身の存在が消えかけるという発想とオリジナリティで、
スリリングで笑えるSF・ラブ・コメディ映画の金字塔となった。
もしタイムマシーンがあれば、自分が生まれる前の「過去」やまだ見ぬ「未来」へ行くのが普通だが、
「サマータイムマシーン・ブルース」では、みんな知っている「昨日」へ行くところがとってもユニーク。
しかも「みんなが知っている昨日」の中に、実はたくさんの謎があった、という着眼点もとても面白い!
主人公たちがタイムマシーンに乗って1つずつ謎解きしていくのを、
一緒に頭をひねりながら、そして大いに笑いながら追体験できる。
監督は、「踊る大捜査線 THE MOVIE」や「交渉人 真下正義」の本広克行。
今作は、京都の劇団ヨーロッパ企画の劇「サマータイムマシーン・ブルース2003」を見た監督が、
原作の上田誠に脚本を依頼して、映画化することになった。
1979年生まれの上田氏は、大学1年で同志社大の演劇サークルに入団するとともに、
「ヨーロッパ企画」を旗揚げ、2000年に正式に独立している。
日常的な小さな出来事を面白可笑しい小話に展開するところは、演劇やお笑いを見ている感じ。
とにかく、SF研の面々が強烈なキャラクター揃いで可笑しい!
P&Gのシャンプー「ヴィダルサスーン」(わが家も愛用!)がなくなったと大騒ぎする新美(与座嘉秋)や
やたらダジャレを連発し、顔の表情も身体の動きも怪しい石松(ムロツヨシ)とか、
見ているだけでも笑える未来から来た田村(本多力)など、とにかくドタバタ喜劇に声をあげて笑ってしまう。
主役の甲本拓馬(瑛太)と柴田春香(上野樹里)のほのかな恋愛もタイムトラベルと連動していて、
辻褄合わせも完璧、とくにラストのまとめ方が後味爽やかでとてもいい。
最近の日本映画は、本当にレベル高いなぁと思う。
昨年の「下妻物語」もよかったが、今作のエンディングも「下妻…」と同じくTommy Heavenly6が担当している。
両作品は映像の色調も似ているが、今風でありながらどこか懐かしさも感じられるという作風も似ている。
古い長屋を改造して住んだり、ちゃぶ台や地下足袋がヒットしたり、浴衣を着る若者が増えたり、
そういう最近のの若者文化をギュッと濃縮したような作品ともいえる。
とにかく、面白い!
新宿武蔵野館
DATA
日本映画/2005年/プロデュース・監督(本広克行)/原作・脚本(上田誠)/
音楽(HALFBY&STRAUSS)/撮影(川越一成)/
出演(瑛太、上野樹里、与座嘉秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、永野宗典、本多力、真木よう子)
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