「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」
-STAR WARS THE RISE OF SKYWALKER-


1977年、「新たなる希望(EP4)」から始まったシリーズのいよいよ完結編である。
約40年間、リアルタイムで見てきた世代にとって、「完結」への思い、期待は否が応でも高まる。
日米同時公開となった12月20日(金)夜、友人と共に、その瞬間を見届けた。

現時点(12/27)でみる限り、観客の反応はすこぶる好意的で、高く評価されているようである。
一緒にみた友人も「すごく感動したな」と、涙目で語っていた(少々誇張…笑)。
実のところ、僕は、そうでもなかった。
寝不足だったこともあり、途中、うとうとしてしまったことも白状しておこう。
しかしながら、本当に面白くて引き込まれていれば、そうそう眠くはならない。
さすがに最後とあって、見所もたくさん用意されていた。
中でもレイ(ディジー・リドリー)とレン(アダム・ドライバー)の関係や
レイの出自が明らかになるところは、最大の見せ場だったが、
いずれも大した驚きはなく、若干白けて見ていた。
「お前は、スター・ウォーズのファンじゃない!」と批判されてしまいそうだが、
実際のところ、熱心なファンとはいえない。
映画史に残るSF大作を一映画ファンとして長年楽しんできた、それ以上でも以下でもない。

今作のJ.J.エイブラムス監督は、「フォースの覚醒(EP7)」(15)に続く、2作目になる。
「フォースの覚醒」は、興行的には大成功だったものの、評判はさほどでもなかったようだ。
ライアン・ジョンソン監督の「最後のジェダイ(EP8)」(17)は、賛否が二分し、
とりわけコアなスター・ウォーズ・ファンから厳しいバッシングを受けているようだ。
僕自身の採点は、「フォースの覚醒」80点、「最後のジェダイ」90点、そして、今作70点である。
ちなみに、映画ファンサイト「ぴあ映画生活」の平均点は、77点、70点、80点。
僕とは真逆の順位になっていて、我ながら、自分の天邪鬼ぶりに呆れてしまう。

今作が背負っているものは、計り知れないほど大きい。
世界中のファンを納得させ、満足させなければならないし、興行的にも失敗は許されない。
スター・ウォーズ的なものをたくさん詰め込み、誰がみても楽しめるシーンがてんこ盛りである。
CG技術もシリーズ随一といわれており、総合的にみて、ほぼ成功したといえるのだろう。

11月に公開された「ターミネーター/ニュー・フェイト」もシリーズものの続編として、似たような状況にあった。
大ヒットした「T2」(91)の正統な続編という売り文句で期待させられたが、
興行収入は、予想を遙かに下回って、あわや赤字という状況のようだ。
確かに目新しさがなく、いつかみた「ターミネーター」の金太郎飴的な作品であったが、
僕は、意外と楽しめた。
「EP9」とのこの違いが何故生じたのか?
それは「観たいもの」の違いだったように思える。
僕が「ターミネーター」に期待したものはほぼ観られたが、
「EP9」に期待したものは観られなかった、ということだろう。
「一体、自分は何を観たかったんだろう?」

産みの親であるジョージ・ルーカス氏のコメントをネット上で見ることができる
「フォースの覚醒」については、「子供たちを奴隷業者に売ってしまった。」
「彼らはレトロな映画を作りたかったんです。僕は好きじゃない。」とかなり否定的。
その一方、「最後のジェダイ」については、ルーカス氏が思い描いていたストーリーではないものの、
作品自体は大変気に入り、「素晴らしい出来だった」とライアン・ジョンソン監督に賛辞を送ったと言われている。
また、ジョンソン監督自身は、次のように述べている。
「もし僕が望んでいたもの、スクリーンで観たいと思っていたものそのものを見せられたら、
『あ〜、オッケー』という感じになってしまう。それは僕を笑顔にするかもしれないけど、
特に何も感じず、それについて後で考えることもない。本当に満足させられることはないんだ。」

二人の意見に、僕の考えは近い。
「EP8」は、多くのスター・ウォーズ・ファンの期待を裏切り、失望させ、
激しい拒絶感をもった人も少なくないようである。
しかし、意外な展開や新たな発見、少し考えさせられるようなメッセージを期待する映画ファンにとっては、
「EP8」はとても面白く、今作のような気配りの利いた総合デパート的作品には興味が湧かないのかもしれない。

岡本太郎氏が「今日の芸術」の中で述べているように、
「芸術は美しくあってはならない」という一面を僕も期待してしまう。
これを言葉どおりにとってはいけない。
何を美しいと感じるか、それは人によって違っていいし、深く追求し続けることが芸術であり、
それは芸術家だけのものではなく、すべての人のものだ、ということを太郎氏は言ってるのだと思う。

ルークが帝国軍のリーダーであるダース・ベイダーと闘う中で、
実の父親だと知ったときの衝撃(EP5)。
ルークの双子の妹がレイア姫だったこと、そして、ダークサイドにいる父が改心し、
ルークと協調して皇帝を倒すカタルシス(EP6)。
並外れたフォースをもつアナキン少年が、愛を知ったがゆえに強い憎しみの感情に囚われ、
ダークサイドの力で世界を支配しようとするリアリティ(EP1〜3)。
すっかり過去の人になっていたルークが老いた姿で登場し、
しかもレンとの戦いで命を落とすという驚きの展開をみせたEP8。
スカイウォーカー家を巡るSF神話がどのように総括され、完結するのか、僕なりに期待していた。
期待し過ぎないようにしていたが、やはり無意識の中で大きくなっていたのだろう。
やはり、もう一度、この完結編を劇場で見てみよう。
そして、自分の中で何度も反芻しながら、しっかり消化したいと思う。


DATA
米国映画/2019年/142分/カラー/スコープサイズ
脚本・監督・製作(J.J.エイブラムス)/キャラクター原案(ジョージ・ルーカス.)/
脚本(クリス・テリオ)/製作(キャスリーン・ケネディ,p.g.a、ミシェル・レイワン,p.g.a.)/音楽(ジョン・ウィリアムズ)/
出演(キャリー・フィッシャー、マーク・ハミル、アダム・ドライバー、ディジー・リドリーほか/字幕(林完治)
 

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