「スター・ウォーズ」
4ヶ月ほど前、衝動的に「スター・ウォーズ」が観たくなって、
そのときはライアン・ジョンソン監督のエピソードⅧ「最後のジェダイ」(17)を観たのだが、
折角なのでシリーズを通して見直すことにした。
ちなみに僕は、第一印象を残しておきたいという個人的嗜好のため、
同じ作品はできるだけ繰り返し観ないようにしている。
今作も公開当時に観たあともう一度、特別編(97)を観たかどうかである。
このシリーズの見方には主に2通りあって、物語の時系列順に観るか、公開順に観るかである。
なんとなく自分が観てきた順番の方がしっくりくる気がして、
エピソードⅣ「新たなる希望」(77)から観ることにした。
1977年(日本公開1978年)から46年、半世紀近くが経っている。
はじまるとすぐに、強烈な懐かしさに胸が締め付けられた。
一度観た映画でもほとんど覚えてないことがよくあるのだが(汗;)、
今作は、意外なほど記憶に残っているシーンが多かった。
C3-POを購入するとき、取り残されそうになったR2-D2をルーク(マーク・ハミル)に勧めるC3-POの台詞も
おぼろげに覚えていて、とても懐かしかった。
巨大な雪男みたいな動物に捕らえられたルークが、ライトサーベルを使って逃げるシーンとか、
色々な宇宙人が集まる酒場のシーンだとか、
何だか自分自身の古いアルバムを見ているような気分になっていた。
この作品が黒沢明監督「隠し砦の三悪人」(58)の影響を色濃く受けているのは有名な話で、
オビ=ワン・ケノービ役を三船敏郎にオファーしていたこともよく知られている。
オビ=ワンの名は黒帯のオビ、ジェダイは時代劇のジダイ、ダースベイダーがかぶっているのは兜という話やら、
言い出せば切りがないくらい日本とも関連が深い作品である。
ルークがオビ=ワン・ケノービ(アレック・ギネス)に出逢い、亡き父のこと知り、フォースについて教わる部分は、
まるで武道のようであり、しっくり馴染むところでもある。
ジョージ・ルーカスは、古い神話や多くの映画のエッセンスを集めて、物語を草稿したと言われている。
多くの神話に共通する「出立」、「通過儀礼」、「帰還」から構成された物語は、普遍的でありつつ、
それをSFファンタジーとして描いたところに今作のユニークさがあったともいえる。
本作を「スペースオペラ」と呼ぶこともあるが、言ってみれば宇宙を舞台にした西部劇(ホースオペラ)でもある。
いろんな要素がてんこ盛りで、様々に考察できるのも本作の魅力だろう。
改めてエピソードⅣを観ると、今作こそがこのシリーズの原点であり、最高峰に思えた。
ルーカス監督のアイデアや想いが1つのシーン、1つの台詞に込められていて、全く無駄がない。
意外に笑えるシーンが多いのも、監督のユーモアが効いていて見所になっている。
宇宙人のキャラクターも実に多様で、中には可愛いらしいものもいる。
メカニックも格好いいし、異星の動物のキャラクターもよくできている。
特に個人的に好きなのは、レイア姫のメッセージを映し出すホログラムである。
子供心に強烈なインパクトがあったのだろう、あのシーンを観るだけで胸が熱くなってしまう。
鼻っ柱が強く若く美しいレイア姫は、キャリー・フィッシャーその人と同一化しているので、
今、この瞬間に宇宙の彼方にいるような錯覚を覚えながら、
哀悼の意を禁じ得なかった。
そんなわけで、泣くところではないのに涙が出てきたり、
物語の本筋とは違う意味で感動してたり、我ながらビックリな映画体験となった(笑)。
遠い昔、遙か彼方の銀河系で、邪悪な帝国軍に捕まったレイア姫が、
ドロイドに重要なメッセージを託し、それを遠く離れた惑星に住む若者が偶然にも見て助けに行く決意をし、
それが実は血の繋がった者同士の因果であった…という予想もつかない展開。
宿敵ダースベイダーが実の父と知るのは、エピソードⅤ「帝国の逆襲」になってからで、
今作では「お前の父さんはダースベイダーに殺された」ということになっている。
偽りを語るオビ=ワン・ケノービの神妙な顔つきが、
あとで嘘だとわかることを前提に演出されているようで、とても感心してしまった。
「スター・ウォーズ」シリーズは、全9作がすでに完結しているが、
元々は6作だと後になってルーカスは言っているらしい。
何が本当かよくわからないが、
そんなことよりもこの壮大なスカイウォーカー家の物語を堪能できる幸せに浸っていたい。
実のところ、今まで「スター・ウォーズ」ファンという認識はなかったが、
今回、改めて見直してみて、意外にも自分にとって特別な映画であることに気付かされた。
10代前半の多感な時期に見始めたことも大きな理由かもしれない。
あるいは、フォースに象徴される善と悪の考え方に深く共感できたからかもしれない。
シリーズ化されている映画は他にもあるが、「スター・ウォーズ」ほど自分の人生に重ねている映画はそれほど多くないように思う。
半世紀近く経った今になって気付かされるとは、この世の奥深さゆえであろう。
「May the Force be with you」
DATA
アメリカ映画/1977年/121分/
監督・脚本・製作総指揮(ジョージ・ルーカス)/製作(ゲイリー・カーツ)/音楽(ジョン・ウィリアムズ)/
出演(マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、デヴィッド・プラウズ、アレック・ギネス)/
字幕(公開時:岡本慎二、特別編:林完治)