「再見〜また逢う日まで〜」
−我的兄弟妹−
 
 
 
文部科学省選定作品。
というお墨付きはどっちでもいいけど、でも、たくさんの子供たちに見て欲しい作品である。
 
ときは文化大革命末期、中国・東北地方。
音楽教師の父、病弱で優しい母、そして4人の兄弟姉妹が貧しいながらも片寄せながら、
しっかりと生活している。
それは、その時代のごく普通の慎ましやかな生活であり、
かつての日本においても当たり前にみられた光景である。
やがて、思想の問題から父が解職され、家族離散、そして、20年ぶりの再会でクライマックスを迎えるまでを、
過去と現在を織り交ぜながら展開してゆく。
ストーリーは実にシンプルなのに、美しい映像と子供らの可愛らしさが相まって、
誰もが共鳴し、心の奥に眠っているノスタルジックな想い出が顔を覗かせて、思わず何度も泣かされてしまう。
 
この作品は、見る世代によって異なる記憶を思い出させるかもしれない。
幼少期に戦争を体験した人は、本当に貧しかった生活や両親との死別や里子に出された経験などが
オーバーラップして目頭を熱くするだろうし、戦後生まれであっても、
それなりの貧しさや兄弟同士の絆を深めながら成長してきた記憶などが蘇ってきて感動するだろう。
そういった世代間の異なった記憶とは別に、共通した「原風景」のようなものもあって、
それがあらゆる世代に共感を呼ぶ作品たらしめているのだろう。
 
ユイ監督は、68年生まれの新鋭で、本作が長編デビューである。
中国では、チャン・イーモウの次に当たる「第6世代」の監督ということになっている。
私もユイ監督と同世代ということもあって、彼がこうしたノスタルジックな作品を作ったことに
特別な親しみと共感と興味を感じる。
1895年、パリでシネマトグラフが誕生して以来、たぶん、この手の映画は数多く創られてきたと思う。
それほど、斬新でも先進的でもない内容といえなくもない。
それでもなお、この作品が優れて貴重な意味をもつのは、
今の時代に欠けているものを映し出しているからだと思う。
もう、多くの人が気付いているように、「本当の幸せは金では買えない」。
にもかかわらず、どうにもできないのが現実の問題であり、それが今の時代の流れなのではないかと思う。
流れの早い川に石を幾つ投げ入れても、決して堰き止めることはできない。
それでも一石投じているのが「再見」であり、こういう動きが世界のいろいろな分野で試みられ、
それらが少しずつ積もり積もってようやく新しい時代の扉が開くのだろうと思う。
歴史とは常に過去のことで、先のことは常にわからず、答え合わせができるのは、ずっと先である。
それでも一石投じるのは、「希望」や「夢」や「信念」があるからである。
 
「再見」。
ノスタルジックであっても、過去を懐かしむだけでなく未来を拓く作品、と私は観た。
 
 
 
DATA
中国映画/2001年/監督・脚本(ユイ・チョン)/
製作総指揮(マンフレッド・ウォン、カー・ミーリー)/音楽(ロアン・シュー)/
出演(ジジ・リョン、ジャン・ウー)