「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」
-ROGUE ONE:A STAR WARS STORY-
 
1977年、「スター・ウォーズ」シリーズ第1作が公開される。
のちに「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」と名付けられたこの物語の少し前を描いたのが今作である。
スピン・オフ(番外編)ということもあり、さほど期待してなかったのが功を奏し、予想以上に楽しめた。
まるで「七人の侍」である。
名もなき戦士が運命に導かれるままに引き寄せられ、
中には帝国軍側にいた軍人やドロイド(K-2SO)までもが一員となって闘う。
自らの命を賭して闘う姿は、悲壮感をまといつつも、武士のような潔さが清々しく感動的だった。

はじめから9部作で構想したルーカスがやっぱり凄いといえる!
そして、いろいろな偶然も重なり、興行収入やVFX技術やら様々な人材が確保され、
この長大なスペース・オペラが創られ続けているのは、映画史における奇跡といっていいかもしれない。
タイトルどおり、これもまた「戦争映画」である。
敵味方の違いはあれど、それぞれに宇宙を平定しようという野心があり、
それぞれにとっての正義がある、というところが通底したテーマだろう。
そして、サブ・テーマとなるのが、親子の絆である。
はじめのシリーズ(EP4〜6)の頃は勧善懲悪のようであったが、時代とともに変化してきたようにも思える。
今作でも帝国軍側の事情について、それなりに描かれている。
皇帝を頂点とする明確な序列があり、そのかなり高い地位にダース・ベイダー卿がいて、
今作でも強力なフォースの破壊力を堪能することができる。
惑星ジェダでは様々な宇宙人が登場し、戦闘機やドロイドも盛りだくさんで、サービス精神たっぷりなのが嬉しい。

観客はすでにデス・スターが反乱軍によって破壊されることを知っている。
しかし、本編にはなかったサイド・ストーリーを知ることによって、
スター・ウォーズという歴史絵巻に登場してこなかった無名の人々の自己犠牲的な生き様に、心を打たれるのだ。
しかし、ふと、考えさせられる部分でもある。
つい先日(12月19日)も、ドイツでテロがあった。
クリスマス・マーケットに大型トラックが突っ込み、12人が死亡、多数の負傷者を出している。
ISが犯行声明を出したようだが、各国で勃発するテロ事件もまた、
自己犠牲的な行為によって引き起こされているわけである。
自分側かそうでないか、違いがそれだけだとしたら…。
戦争は、突き詰めていくと自然の摂理ということになるのだろうか?

今作のクライマックスは、まさしくラスト・カットにあった。
まさか「あの人」が現れるとは想像だにしてなかった多くのファンは、
道に迷って散々歩き疲れた目前に、懐かしい思い出の場所が現れたような安堵感と感動を味わうことだろう。
ラスト・シーンを観ながら僕は、自身の半生について、思っていた。
小学生の頃から始まった長大な物語と共に過ごしてきた年月に思いを馳せ、
映画の世界と現実とが重なり合って、深い感動に飲み込まれていた。
名もなき人々の献身的な犠牲を描く「ローグワン」を見ていると、
今、僕たちの住んでいる世界もまた同じなのだと気付かされ、
しみじみとした余韻が残る。

DATA
米国映画/2016年/134分/スコープサイズ/5.1ch.7.1ch.ドルビーアトモス/
監督(ギャレス・エドワーズ)/オリジナル原案(ジョージ・ルーカス/)脚本(クリス・ワイツ、トニー・ギルロイ)/
製作(キャスリーン・ケネディ他)/音楽(マイケル・ジアッキーノ)/
出演(フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ベン・メンデルソーン、ドニー・イェン、チアン・ウェン)/
字幕(林完治)
 

KINGS MAN