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「レイ」
−Ray−
レイ・チャールズ・ロビンソン、1930年ジョージア州に生まれる。
3歳からピアノを習い始めるが、7歳のとき、盲目となる。
フロリダ州立盲学校に入学してからは、作曲、クラシックピアノ、トランペットなどを習い、
16歳のとき、地元バンドに参加して、プロとしての活動を始める。
1948年(17歳)、シアトルに移り、「The Mcson Trio」というバンドを結成。
このシアトル行きバス車中のシーンから、映画「レイ」が始まる。
レイ・チャールズ(ジェイミー・フォックス)は、「ソウルの神様」と呼ばれる人たが、
映画をみて改めて「天才なんだなぁ」と思った。
トレードマークのサングラスは、盲目のミュージシャンゆえのスタイル。
レイは7歳のときに盲目になってしまうが、盲目になって凄くなったのか、
元々才能がある人がたまたま盲目だったのか、そんなことがふと気になった。
映画を見ると、その両方ではあるけれど、やや前者に近いように思えた。
ふつうに見えていた視力を失うショック。
それと前後する弟の事故死に対する自責の念。
この2つが彼を生涯苦しませるが、彼の音楽をも高めていったように思えた。
レイ少年が緑内障で視力を失っていくとき、気丈な母(シャロン・ウォレン)が、
助けを求めるレイが自力で立ち上がるまでじっと見守るシーンがある。
涙を流していた少年はやがて、ママが来てくれないと悟ると泣くのを止め、
その姿を影で見ていた母親の方が涙を流すというシーンは、しみじみ感動!
母親は、レイにこう言う。
「心の中まで盲目にならないで」
母親は若くして亡くなってしまうが、母の愛、母の言葉が一生、レイを励まし続けたのだった。
たまたま、鈴木敏文氏の本を読んでいたら、同じようなことが書かれていた。
鈴木氏は、誰もが失敗するといったセブン・イレブンを創業させ成功させた人だが、
「条件に恵まれていなかったからこそ、挑戦が生まれた」と書いている。
この映画のメッセージも、そこにあると思う。
「レイは天才、運もよかったんだ」外野席からそんな風に言う人もいるだろうが、
本当のことは当人しかわからないものだ。
レイは、黒人差別が普通だった南部・ジョージア州で公演をキャンセルしたために、
多額の賠償金を払わされた上、州から永久追放をされるという事件にも遭遇する。
州がレイの名誉回復と帰郷を認め、レイの名曲「我が心のジョージア」を州歌にするのは、
それから18年も後の1979年になってからである。
レイ・チャールズは、生活するために歌を覚えた。
スタンダードや物まねなど何でもリクエストに応えるうちに、幅広い音楽を吸収していく。
そして、ゴスペルとブルースというこれまで対極にあった音楽を1つにして、新しい音楽を作り上げた。
それが、のちにソウル・ミュージックと呼ばれる音楽ジャンルになってゆくのだが、
常に第一線で活躍し(グラミー賞12回受賞!)、人生を歌い、人気を博してきた。
それは、2004年6月10日、73歳でこの世を去るまで絶え間なく続いた。
並大抵なことではないと思う。
監督は、「愛と青春の旅立ち」のテイラー・ハックフォード。
そして、演技を越えてレイそのものになったジェイミー・フォックスは、
2005年のアカデミー最優秀男優賞を受賞した。
DATA
米国映画/2004年/監督・製作・ストーリー(テイラー・ハックフォード)/
製作(スチュアート・ベンジャミン)/音楽(クレイグ・アームストロング)/
出演(ジェイミー・フォックス、シャロン・ウォレン、カーティス・アームストロング、ケリー・ワシントン、レジーナ・キング)/
新宿武蔵野館
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