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「戦場のピアニスト」
−THE PIANIST−
1933年、ヒトラーがナチス政権を樹立。
1939年、ドイツ軍は宣戦布告なしでポーランドに侵攻。
当時ポーランドには約350万人のユダヤ人がおり、そのうちの36万人が首都ワルシャワに暮らしていた。
1940年、ワルシャワ市内にゲットー(ユダヤ人居住区)が建設され、
約50万人が巨大な牢獄に閉じこめられた。
ゲットーの中は、自殺、伝染病、餓死、盗み、ドイツ人による虐殺が蔓延。
1942年には、トレブリンカやアウシュビッツなどに絶滅収容所が建設され、
ユダヤ人の「根絶」に向けたガス室での大量虐殺が始められた。
1945年、ドイツ軍がワルシャワから撤退したとき、
市内に生存していたユダヤ人は20人ほどでしかなかった…。
こうして数字を書き並べても、「戦争」の実態は伝わらない。
だからこそ、「戦場のピアニスト」は作られたのであろう。
この映画は、ポーランドを代表するピアニスト、
ウワディスワフ・シュピルマン(1911−2000)の体験に基づく実話である。
監督ロマン・ポランスキー自身も5才のとき、クラクフにあるゲットーに収容され、
母親をここで殺害されている。
ポランスキー監督は、かつてスピルバーグに「シンドラーのリスト」の監督をオファーされたが、
自身の深い心の傷が癒えてないという理由で断っている。
今作品は、シュピルマンの回想録をベースに監督の幼少時の記憶も交え、
当時の悲惨な状況がリアルに再現されている。
ホロコーストを題材にした映画は、数多くある。
やはり、人間が忘れる動物である限り、何度でも見るべきだと思う。
今の政治家の多くが戦争を知らない世代になっていることがたびたび指摘される。
戦争の残虐性も無意味さも身をもって体験してないリーダーたちが、
政権維持や過剰な防衛や一方的な正義感や狂信的な宗教観などから、
国民を戦争の巻き添えにしていく例が過去から何度も繰り返されてきた。
そしてこの日、2003年3月20日(日本時間正午15分)、
英米軍がイラクへの空爆を開始。
日本の小泉首相は、アメリカ支援の姿勢を表明した。
「弱肉強食」といえば、自然の摂理のようだが、
自然界には「無意味な殺し」はない。
戦争は「無意味な殺し」に違いないのだが、
難しいのは、戦争を始める人はいつも戦争に意味づけをしている点である。
「戦場のピアニスト」は、2002年のカンヌ国際映画祭で最優秀作品賞を受賞している。
すべての人は国民である前に人間である、そのことを改めて思う。
DATA
フランス、ポーランド映画/2002年/監督(ロマン・ポランスキー)/
製作(ロマン・ポランスキー、ロベール・ベンムッサ、アラン・サルド)/
脚本(ロナルド・ハーウッド)/出演(エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン)
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