「パッセンジャー」
-PASSENGERS-


もしも、という空想の世界を精密な映像と効果音、音楽、そして、
今まさに旬といえる世界的なスターの競演でみられる幸せにどっぷり浸れる作品だった。
ある意味では、「タイタニック」(97)なのかもしれない、とも思った。
沈みゆく運命にある豪華客船、運命的に出会った二人が悲劇的な最後に向かう中で、
選び取る究極の愛の形…(じ〜ん)。
この手は、個人的にツボなので、グッときてしまう。
悲劇的運命に翻弄されつつも受け入れる強靱な精神が美しく、哀しくもある。
だからこそ、命の尊さがひしひしと伝わってくる!
一度きりの人生だからこその愛おしさを感じて…。

ジェニファー・ローレンス扮するオーロラは、「眠れる森の美女」のオーロラ姫からきてるようだ。
今作でも冬眠ポッドで眠るオーロラが、先に目覚めていたジム(クリス・プラット)によって眠りから覚める設定である。
ジムはこのとき、自らのエゴによって、オーロラを道連れにしてしまうのだが、
これは禁断の果実を食べたアダムとイブの話と少し似ている。
もちろん、歴史的な事実ではなく、後付けの寓話なのだろうけど、
なんとなく人間が無条件に背負っている罪の意識の表れのようにも思える。
自己のエゴや欲望を他者とどのように共有するか、しないのか。
その選択の連続を経て、人生は収束していく。

生きること自体は、なんら目的ではない、と時々思う。
「じゃあ、何?」と自問自答すれば、
「成功」こそが人生の目的じゃないかなっと、30歳の頃からおぼろげに思ってきて今に至り、
「じゃあ、成功って何?」と時々考えている。
成功の形は人それぞれであって、客観的なものである必要などなく、
あくまで主観でよいと思うに至っている。
自分にとっては、心底やりたいことを見つけ、実際にやることを通じてちょっとずつでも成長することができたら、
きっと「成功した」って思えるような気がしている。
きっと、一生かけて模索し続けることなのだろうけど。

この物語の終わりは、ハッピーエンドといっていいだろう。
しかし、実際はそんな風にうまくはいかないだろうと、僕には思えた。
でも、そうだったらいいなって思うことで僕たちは生きていける、ということなのだろう。
好きなSF映画がまた一つ増えた。


DATA
米国映画/2016年/116分/スコープサイズ/
監督(モルテン・ティルドゥム)/脚本/製作総指揮(ジョン・スペイツ)/
製作(ニール・H・モリッツ他)/音楽(トーマス・ニューマン)/
出演(ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン)/
字幕(アンゼたかし)
 

KINGS MAN