|
「オブリビオン」
-OBLIVION-
SFは滅多に見ないが、友人の選択に任せて観に行った。
従って、期待値はかな〜り低かった。
映画を見る上では、案外「最適な心理状態」ともいえるが、
こういう状態を意識的に作ることは、まず不可能。
そういう意味では、自分にとって幸運な出会いとなった作品である。
舞台は2077年、近未来の地球。
エイリアンの襲撃によって壊滅的打撃を受けた地球に、人類はほとんどいない。
多くの生存者は土星の衛星タイタンに移住している、という設定。
主人公のジャック・ハーパー(トム・クルーズ)は、パートナーのビクトリア(アンドレア・ライズブロー)と共に地球に残り、
無人偵察機ドローンの管理やバブルシップに乗ってパトロールを行っている。
二人が住む地上1,000mのスカイタワーやそこから見る地球の景色などが殊の外美しく、
それだけでも結構、満足してしまった(IMAXの価値大)。
昼間のSFにこだわったというジョセフ監督は、できる限り明るいビジュアルにするために敢えて2Dで撮影したり、
スカイタワー内の無機質な美や夜のプールで泳ぐシーンのゴージャスなシーン、
二人のヒロインの撮り方も含めて、随所に美意識の高さが感じられた。
もちろん、ストーリーに魅力があってのビジュアルであって、
終始、謎に満ちたサスペンスフルな雰囲気で、適度な緊張感が心地よかった。
SF映画といっても、「2001年宇宙の旅」(68)や「スター・ウォーズ」シリーズなど実に幅広いが、
どういうわけか高度に進化した宇宙人が攻めてくる話が多い気がする。
ニュー・ヨーク界隈が一瞬にして破壊されたり、
恋人同士が離ればなれの危機に陥ったりするものの、最後には人類が結束してエイリアンをやっつける、
という筋書きが多い、または一般ウケするようだ。
ジェット・コースターに乗って、わーわー怖がって楽しむ感覚なのだろうが、
個人的にはとうの昔に飽きてしまっている。
この作品は、その手を期待すると丸っきりハズレだろう。
今作は、物静かで淑やかに美しく、そして、謎めいている。
地球での監視状況は日々、宇宙ステーション「テト」にいる司令官サリー(メリッサ・レオ)に報告されるが、
その際必ず「あなた達は、チームとして効果的か」と質問される。
「なんだ?」と思う。
また、ビクトリアとジャックの関係も微妙だが、そのジャックの記憶の中にだけ存在する女性(オルガ・キュリレンコ)も謎。
「きっと、何かあるんだろうな?」と思っていると、
後半になって謎解きが始まり、意外な展開〜結末へと導かれるところに幾つもツボがあり、
感動的でもあった。
「大体、先が読めてしまった」という人は楽しめないかもしれないが、
少なくとも自分は、意外な「真実」に驚いたし、案外、奥深い話のように感じられた。
ロボットが人工知能(AI)をもったり、人間の臓器を動物に作らせたり、
昔SFだったことが現実になっている例は少なくない。
じゃあ、2077年にはどうなっているのだろうっていうと、
この映画のような荒唐無稽な話も部分的には現実になっている可能性だってあるかもしれない。
タイトルは、「忘却」という意味。
自分が自分であるために最も大事なもの、
それは「記憶」なんだ、ということもしみじみ考えさせられた。
宇宙もののSFではあるが、むしろ人間の内なる宇宙へ入っていくような感触。
なかなかである!
109CINEMAS湘南
DATA
米国映画/2013年/124分/スコープ・サイズ
監督・原作・製作(ジョセフ・コシンスキー)/
脚本(カール・ガイダシェク、マイケル・デブリュン)/スコア音楽(ジョセフ・トラパニーズ)/
出演(トム・クルーズ、モーガン・フリーマン、オルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズブロー)/
字幕(戸田奈津子)
|