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「モンスターズ・インク」
情報化社会であるが、もはや、情報過多である。
栄養バランスも悪い。
物事を一つ一つかみ砕く間もなく次々と口の中に放り込まれ、飲み込む。
胸焼けして、今にも吐きそうだ。
知識ばかりで、実感のないことばっかりだ。
「一度、頭の中を真っ白にしたい!」
「ゼロ点に戻って、1から考え直したい!」
そのような自覚症状がある方には、ぜひお勧めしたい映画である。
ちなみに効能は、ずばり「良心の確認」である。
この映画は、「トイ・ストーリー」シリーズや「バグズ・ライフ」を製作してきたピクサーによる
フル3DCG作品である。
3DCGというのは、3D(立体)のCG(コンピューター・グラフィックス)の略で、
アニメでも実写でもない独自の映像がまず楽しい。
タイトルの「モンスターズ・インク」というのは、モンスターたちが経営する会社のことで、
その仕事というのが、夜、寝室で寝ている子供らを脅かして、
「キャー!」という悲鳴がもつエネルギーを集めて各家庭に販売するという、
設定がなかなかユニークである。
物語は目まぐるしくスピーディに展開し、
全く飽くことなく一息にエンディングまで突っ走る。
笑いあり涙ありの見事な脚本であるが、特に素晴らしいのは、
本当に大切なことを子供にもわかるように教えてくれることである。
映画のクライマックスからずーと泣いていた女の子がいたし、
5歳の息子も見終わった後で、
「もうちょっとで涙が出るところだったよ」と白状してたくらい子供心に届くものがある。
そして、子供と一緒に、大人も目を赤くしてしまうのである。
なぜか?
たぶん、それは、良心の大切さを改めて思い知るから、だと思う。
今、イスラエルがパレスチナを力任せにねじ伏せようとしている。
言い分は、双方にある。
しかし、やっていいことと悪いことがあるだろう。
常識はいつでも変わるから、こういうときには当てにならない。
「勝てば官軍」「目には目を」「正当防衛」いくらでも屁理屈は考え出される。
だから最後は、「良心」しかないんじゃないか。
忙しかったり、余裕がなくなったり、或いは集団の中で忘れがちなその言葉を、
もう一度確認して、大人は涙を流すのでしょう。
DATA
アメリカ映画/2001年/監督(ピート・ドクター)/
脚本(アンドリュー・スタントン、ダニエル・ガーソン)/
製作(ダーラ・K・アンダーソン)/音楽(ランディ・ニューマン)
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