「ミッドナイト・エクスプレス」
 
 
 
 題名くらいしか知らなかったこの映画を、たまたま深夜テレビで見てひどく衝撃を受けたのは、
もっとも多感な16、17の頃だった。
主人公ビリーは、ハシシの密輸に失敗し、トルコのわけのわからない刑務所に送られる。
暴力的な看守長の激しい拷問を受け、地獄のような日々が続く。
ようやく4年の拘留期間が終わろうとしたとき、明確な理由もないまま、
刑期がいきなり30年に延長される。
ビリーは生きることに絶望し、半狂乱状態になる。
驚くべきは、この話が実話だということである(主人公ビリーとは原作者その人である)。
ジョルジュ・モロダーの切ない音楽が心に響く。
そして、ついに、狂人と化した主人公が、最後の最後、脱獄に成功し、
自由を掴み取るラストシーンには、思わず涙が出る。
もう何度もこの映画を見ているが、これほどおぞましい作品を
何度も見たくなる理由が自分でもずっとわからないでいた。
それがある時ハッと気付いた。
これは「自由への逃走」を表した映画だ。
どんなに苦しい運命であろうと、精神が狂ってしまおうとも、
人間は本能的に「自由」を求めるものなのだ。
その死に物狂いの生命力に感動するんだと思ったのである。
悲惨な映像ばかり続くにもかかわらず、
この映画は「生命の尊厳」を強烈に語って、驚くほど美しい。
 
 
DATA
アメリカ映画/1978年/監督(アラン・パーカー)/原作(ビリー・ヘイズ)/
主演(ブラッド・デイビス)/音楽(ジョルジュ・モロダー)