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「マンマ・ミーア!」
−MAMMA MIA!−
99年ロンドンで開演され、ロングランを続ける人気舞台「マンマ・ミーア!」の映画版である。
スウェーデンではボルボと並ぶ輸出産業といわれたABBAの名曲で綴られるミュージカル。
特別ABBAのファンではないが、こうして聴いてみると、知ってる曲がずいぶんあって驚いた。
タイトルナンバーとなる「マンマ・ミーア!」は、イタリア語「おやまあ!」の意味と
「私のお母さん」にかけたダブル・ミーニング。
主人公は、自分の父親を知らないソフィ(アマンダ・セイフライド)かと思えば、
実はその母のドナ(メリル・ストリープ)の方だった。
奔放な青春時代を送ったドナは、エーゲ海に浮かぶカロカイリ島のホテルを経営するシングル・マザー。
一人娘ソフィーの結婚式を翌日に控え、ソフィーの父親かもしれない男性が、
なんと3人も現れて大騒動、というやや荒唐無稽な物語である。
ミュージカル映画は、はじめてのトーキー映画「ジャズ・シンガー」(1927)がルーツらしい。
これは好きずきで、物語の途中で唐突に歌が入ると却って気が散ってしまう場合もあるから、
個人的には取っ付きにくいジャンルであったが、
そういう既成概念をすべて吹き飛ばしてくれたのが、インド映画「ムトゥ 踊るマハラジャ」(1995)だった。
唐突だろうが、話の筋とズレていようが、桁外れのインパクトで歌い、踊る主人公達の迫力に魅了されて、
以来、ミュージカル映画を楽しめるようになった気がする。
本作は、ABBAの歌がベースにあって、歌詞の世界を広げて脚本が書かれているため、
歌と話がぴったりと合っている。
監督も製作も脚本も女性で、3人とも舞台版「マンマ・ミーア!」を手掛けており、
息もぴったりという感じである。
主人公ドナに2人の友人がいて、娘のソフィーにも2人の友人がいるのは、
まるで現実のクリエイター・チームの3人が投影されているかのようである。
とにかく女3人が集まると、怖いくらい元気でにぎやかである!
曲は聴いたことがあってもABBAの詞というのは今回初めて知ったが、
意外に奥深く、男と女の間に生じるいろいろなシチュエーションが描かれていて、
まるで映画のために書かれた台詞のようであった。
今回の映画化に対して、ABBA(男2人女2人の頭文字)のうち作詞作曲を担当していた
ベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが全面的に協力しているが、
映画化の条件として提示されたのが、俳優が歌うことだったという。
歌手が演技してはいけない、映画である以上俳優でなければいけないということで、
歌える俳優が集められたわけだが、なかなかの布陣である。
主役を演じたメリル・ストリープは、かねてからブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品出演が夢だったという。
「今宵、フィッツジェラルド劇場で」(2006)でも彼女の歌声を聴いていたが、本当に声が綺麗でうまいのである。
アマンダ・セイフライドの方は元々歌手を目指していただけあって、素晴らしい歌声の持ち主。
歌に踊りができて演技もするというハードな役柄を見事に演じきった役者さんたちの力によって、
また1つミュージカル映画の名作が誕生したといえるだろう。
美しいエーゲ海の島を背景に、ABBAの名曲をたっぷりと堪能できて、
とびっきりのハッピーエンドで幕を閉じるので、気分高揚にはぴったりな映画である。
しかも、カーテンコールまであって、きっとハッピーな気分で劇場を後にできる!
DATA
米国映画/2008年/108分/監督(フィリダ・ロイド)/
脚本(キャサリン・ジョンソン)/製作(ジュディ・クレーマー、ゲイリー・ゴーツマン)/
音楽監督(マーティン・ロウ)/原曲(ABBA)/原案(ジュディ・クレーマー)/
出演(メリル・ストリープ、アマンダ・セイフライド、ピアーズ・ブロスナン)
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