「マグニフィセント・セブン」
-THE MAGNIFICENT SEVEN-
 
マグニフィセントとは、「崇高な、気高い」の意。
ジョン・スタージェス監督の「荒野の七人/THE MAGNIFICENT SEVEN」(60)と同名である。
「荒野の七人」は、黒澤明監督の「七人の侍」(54)をベースにし、
今作は、これら2作品のリメイクであるが、配役などで現代的な味付けがされている。

復讐劇なので、まずは悪役の悪ぶりが重要である。
冒頭シーン、資本家ボーグ(ピーター・サースガード)のいかれた雰囲気や傍若無人ぶりに、
観客はすっかり憎しみを煽り立てられる。
つかみはバッチグーである。
怖じ気づく住民らの中から、一人の美しい女性(ヘイリー・ベネット)が立ち上がり、
「この町で玉がついてるのは、私だけよ!」と言わしめ、
用心棒を雇ってボーグらに復習を誓う、というお決まりの展開もなかなかよい!
ヒロインの魅力も極めて重要であるが、西部劇コスチュームのH..ベネットも楚々としたお色気が申し分なかった。
そして、やはり一番の要は、悪者退治を買って出るヒーローたちである。
「七人の侍」の志村喬、「荒野の七人」ではユル・ブリンナーが演じたリーダー役を黒人のデンゼル・ワシントンが扮し、
韓国人のイ・ビョンホンが東洋人役、メキシコ人のマヌエル・ガルシア・ルルフォがメキシコ人役、
アラスカ原住民の血を引くマーティン・センズメアーがネイティブ・アメリカン役を務めるなど国際色豊かな顔触れである。
グローバル社会を反映したかのような配役であるが、
生き残る面子をみると、「来るべきアメリカの人口動態の激変を予示している」という(越智道雄・明治大学名誉教授のレビューより)。

2017年1月、トランプ新大統領の誕生により、アメリカに激震が走った
メキシコ国境に大きな壁を築き、その経費をメキシコに負担させるという荒唐無稽なアイデアに賛同する人もいる。
そもそも原住民の土地を奪い、アフリカ人を奴隷として無理矢理住まわせ、
多くの移民を受け入れて成立してきた国なのである。
アメリカ・ファーストと訴えているトランプ氏自身が、ドイツ系移民の家系である。
今まさにアメリカが直面している頭の痛い問題が、つまるところは世界共通、
そして、人類永遠ののテーマであることを改めて思い知らさせる。

っていうようなややこしい問題も少し孕んでいるものの、基本的には勧善懲悪の娯楽作品である。
それにしても、復讐劇は、何故に根強い人気があるのだろう?
真っ先に思い浮かぶのは、タランティーノ監督の「キル・ビル」(03)。
殺しは悪いことでも、復讐ならば仕方ない、という暗黙の了解があるから残虐シーンにスカッとしてしまうのだろうか。
ローマ時代のコロッセオを舞台にした「グラディエーター」(00)も壮絶な復讐劇だったが、
平穏を取り戻した故郷にもはや家族の姿がない結末は、涙なしには見られなかった。
永遠の輝きを放つ「凶暴な純愛」映画「レオン」(94)も哀しかったし、メル・ギブソン渾身の傑作「ブレイブハート」(95)は本当に痛かった!
復讐の奥深い悲しさを描き切った感のあるキム・ギドク監督のヴェネチア映画祭金獅子賞「嘆きのピエタ」(12)もすばらしかったし、
復讐劇は限りある命と永遠の愛が描かれているが故に、名作、秀作が少なくないのかもしれない。

エンドロールの最後に「Memories of Janes Horner」とあって、何だろうと思った。
ジェームズ・ホーナーといえば、「タイタニック」(97)である。
アイリッシュ民謡を取り入れた哀愁ある音色が物語の悲哀をどれほど盛り上げたことか。
実は、今作の製作中、飛行機事故で急逝したそうだ。
謹んでご冥福をお祈りしたい。

映画の最後に流れるのは、「荒野の七人」のテーマ曲。
広大で陽気な西部の大地と人々を思い起こさせる、これぞ西部劇という名曲に元気が出る!

DATA
米国映画/2016年/133分/スコープサイズ/5.1ch/
監督(アントワーン・フークア)/脚本(ニック・ピゾラット、リチャード・ウェンク)/
製作(ロジャー・バーンボーム、トッド・ブラック)/音楽(ジェームズ・ホーナー、サイモン・フラングレン)/
出演(デンゼル・ワシントン、クリス・ブラット、イーサン・ホーク、イ・ビョンホン、ヘイリー・ベネット他)/
字幕(松浦美奈)
 

KINGS MAN