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「リトル・ランナー」
−Saint’ Ralph−
主人公は14歳の少年、ラルフ・ウォーカー(アダム・ブッチャー)。
彼の父親は、第二次大戦で戦死している。
そして母親のエマ(ショーナ・マクドナルド)は、重い病気で入院中。
そういう苦難の中でも、ラルフ少年は塞ぎ込むこともなく、いたって無邪気で陽気だ。
タバコを吸ってみたり、女子更衣室を覗いてみたり、思春期を満喫している!
規律の厳しいカトリック学校のフィッツパトリック校長(ゴードン・ピンセント)には、しっかり目をつけられているが、
それでも、いたずら心と好奇心には勝てないという感じの毎日が続く。
その辺は、ただただ見ていて面白い!
そんなある日、母親が昏睡状態になってしまう。
「奇跡でも起きない限り、ママは目覚めない…」
と看護婦アリス(ジェニファー・ティリー)に言われ、
そこからラルフの果敢な挑戦が始まる!
ボストン・マラソンで優勝するという「奇跡」を起こすために…。
この映画を見ていると、なぜかホッとしてしまう。
実は、原題「Saint Ralph」にあるように、
背景にキリスト教がある(ほとんど物語には関係ないけど)。
聖書では、神の愛を伝えることが奇跡であると記されているそうだ。
病める者や苦しむ人への止むにやまれぬ愛として奇跡はあり、その最大の奇跡が「復活」であると。
では、「奇跡はどうすれば起こるのか?」というのがこの作品のテーマであるが、
ひたすら自分に都合のよいお祈りをする話では到底、共感も感動も得られないであろう。
ラルフのよき理解者となるヒバート神父(キャンベル・スコット)は、
「信仰」「純潔」「祈り」によって奇跡はもたらされると教える。
ラルフはそれを信じて、たゆまぬ努力の末、ボストン・マラソンに挑む!
そのひたむきな生き様が、ラルフ自身を逞しく成長させ、
さらに周囲の人たちの心も少しずつ変えていくというのが、この作品の見所だろう。
監督・脚本のマイケル・マッゴーワンは、長編2作目。
自身が、デトロイト・マラソン優勝の経験のあるマラソンマンである。
そのせいか、クライマックスのマラソン・シーンは、とてもリアルで迫力があった。
そして、その後の台詞がとてもよかった。
ヒバート神父が「奇跡を追ってこそ人生だ」という。
するとラルフ少年が「まったく同感です」と答える。
この二人の台詞がイキイキと伝わってくるのは、
そこまでのドラマで二人の人間性と信頼関係を十分に理解しているからであろう。
生きる希望と勇気をもらって爽快な気分になれる作品である。
ル・シネマ
DATA
カナダ映画/2004年/監督・脚本(マイケル・マッゴーワン)/
製作(シートン・マクリーン、アンドレア・マン、マイケル・サウザー、テッツァ・ローレンス)/
美術(マシュー・デイヴィス)/音楽(アンドリュー・ロッキングトン)/
出演(アダム・ブッチャー、キャンベル・スコット、ジェニファー・ディリー)
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