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「Little DJ〜小さな恋の物語〜」
音楽ラジオ番組のディレクターを務める海乃たまき(広末涼子)は、
仕事の壁にぶつかって、ふと、この仕事に就いた原点となる少年との出会いを思い出していた。
その少年は難病に冒されていたが、病院内で音楽番組のDJを務め、患者たちを元気づけ、
たまきにラジオの楽しさを教えてくれた人だった。
中学1年生の高野太郎(神木隆之介)と1つ年上の海乃たまき(福田真由子)の、
純粋で切ない小さな小さな恋の物語である。
主人公が不治の病(白血病)という設定の作品は、映画でも小説でも本当に多いと思う。
今の医療では、必ずしも不治ではなくなっているそうだが、
しかし、愛と死の問題は、永遠に人間にとっての最大の関心事に違いない。
この手の感動モノというのは、あまりにパターン的すぎると、
うっかり感動できないってこともある。
登場人物のキャラクターがしっかりしてなかったり、心理描写が不十分だったりすると、
感情移入できないのだが、その点、今作は、実によくできていた。
登場人物が案外、多い。
ちょっと怖いけど実は優しい父(石黒賢)や綺麗で心配症の母(西田尚美)、
主治医となるアメリカ帰りの若先生(佐藤重幸)、太郎にDJを薦めてくれた心の広い大先生(原田芳雄)、
さらには同じ病室のちょっと強面の捨次(松重豊)や気さくで人のいい感じの結城(光石研)などなど。
前半はこれらの人たちと太郎との交流を中心に描かれ、
太郎少年の人柄や置かれている境遇に対してじわじわと共感してしまう。
そんな太郎少年の前に満を持して現れるのが、交通事故で全身包帯だらけの「ミイラ人間たまき」である。
一瞬、ギョッとさせておいて、包帯がとれて中から出てくるのが、
いつもにこにこと可愛らしいたまき少女という演出もなかなかよかった。
物語は、太郎少年の死に向かって、時間を刻んでいく。
それと相まって、小さな恋人との関係は徐々に深まり、生きたい、生きて欲しいという感情がどんどん高まっていく。
そんな子供たちの願いを前に、医者も親も周囲の大人たちも何もできないもどかしさを抱えながら、
最期のときを迎えなければならない。
この作品は、「伝える」をキーワードに書かれたという。
web時代といわれる現代は、携帯やブログをはじめ、伝える手段は十分に豊富である。
にもかかわらず、互いの意思疎通が昔に比べて豊かであるかというと、
必ずしもそうではない。
「伝える」ことの難しさと大切さと、それにもまして喜びを、
もう一度、思い出してみたくなる映画である。
音楽もいいな〜と思ってたら、「ALWAYS 三丁目の夕日」の佐藤直紀だった。
DATA
日本映画/2007年/128分/監督(永田琴)/
プロデューサー(森谷雄、千葉伸大、遠藤日登思)/原作(鬼塚忠)/脚本(三浦有為子)/音楽(佐藤直紀)/
出演(神木隆之介、福田麻由子、広末涼子、西田尚美、石黒賢、原田芳雄、小林克也)
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