「ラ・ラ・ランド」
-LA LA LAND-
2016年度アカデミー賞で史上最多タイの14ノミネートとなる超話題作。
結果的に監督賞、主演女優賞など6部門を受賞した。
逆にいえば、作品賞は逃した。
予告編をみるだけでワクワク感が高まり、あの「セッション」(14)のチャゼル監督と聞いて、期待感が煽られる。
鬼のような音楽教師で強烈な印象を残したJ・K・シモンズは、今回はいい人なの?とかね…。
LA LA LANDとは、「ロセンゼルス」、そして「おとぎの国」の意味らしい。
冒頭、そのロサンゼルスの渋滞したフリーウェイを舞台に繰り広げられる大人数でのダンスシーンが圧巻。
一体どうやって撮影しているのかわからない約6分間の長回しのカット。
音楽もいいが、衣装の配色もよく、見ていてとても美しい。
ロサンゼルスの夜の街並みを見下ろす高台でミア(エマ・ストーン)と
セブ(ライアン・ゴズリング)が踊るところも実に「絵になる」シーンである。
そんな美しく躍動的なシーンが随所にあって、音楽と踊りだけで十分に満喫できるが、
物語は至ってシンプルな「ボーイ・ミール・ガール」系の話である。
個人的には、そのドラマの部分でちょっと物足りなさがあったが…。
主演男優賞は逃したものの、ライアン・ゴズリングも凄い。
役作りのために3ヶ月間みっちりピアノを練習して、相当な技量で演奏している。
音楽家の役なので、少し弾ける程度ではダメなわけで、通常はプロの演奏と吹き替えるところだが、
今作では、ワンカットでゴズリングの手元まで映すので、本人が弾いてるのがわかる。
「セッション」で超絶なドラマーを演じたマイルズ・テラーも本人が演じて話題になったが、
映画というある種の虚構の世界をここまでのレベルで作っていく人々の情熱に改めて頭が下がる。
「アメリカン・ドリーム」という言葉が、どこか遠い昔のことのように思われて久しい。
トランプ新大統領が過激発言で反感をかいつつも一定の支持を得ているのは、
「違法移民が入れない壁を作る」とか「アメリカ国内に自動車工場を作れ」とか、
理想や夢を語る代わりに即物的とも思える現実的な施策を訴えているせいかもしれない。
夢はみるものではなく、叶えるもの。
叶わぬ夢なら見る必要はない、ってことか…?
映画のラストは、好みが分かれるところかもしれない。
単純なハッピーエンドではなく、ちょっとビターな幕引きになるのは「セッション」も同じで、
現実はそうでしょっていうリアリティが監督の中にあるのだろう。
映画なんだから夢をみさせてよ派と、絵空事では腑に落ちない派と、どっちでもいいじゃんがあったとしたら、
僕はどっちもあり派かもしれない。
ラスト数分間、J・K・シモンズが招き入れる世界こそが文字通り「おとぎの国」で、
あんな風だったらよかったと夢から覚めて、映画は終わる。
「あなたには今、夢がありますか?」「現実は、どうですか?」
そんな問いかけをされたような気がした…。
DATA
米国映画/2016年/128分/
プロデューサー(マーク・プラット)/監督・脚本(デイミアン・チャゼル)/音楽(マリウス・デ・ヴリーズ)/
出演(ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ソノヤ・ミズノ、J・K・シモンズ)/