「イルマーレ」
−THE LAKE HOUSE−
 
 
 
韓国映画「イルマーレ」(00)のリメイクである。
主演のキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックは、「スピード」(94)以来の共演。
どちらも好きな俳優なので、期待しても損はないと思って見ることにした。
キアヌ・リーブスといえば、シャーリーズ・セロンと共演した「スウィート ノベンバー」(01)がよかった。
そういう雰囲気の映画なのかと思ってたら全然違っていて、意外にもタイムスリップの話だった!
タイムスリップを題材にした映画はいろいろあるが、やはり「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の印象が強い。
でも、今作は、それとはかなり趣が異なり、静かな「大人」の映画である。
 
原題にあるとおり、美しい湖畔に建つ総ガラス張りの風変わりな家が舞台となる。
その家で、2004年を生きるアレックス・ワイラー(キアヌ・リーブス)と
2006年を生きるケイト・フォスター(サンドラ・ブロック)が時を超えて文通をはじめる。
ある手紙の中で、「2004年と2006年は、あまり変わらないわ」というケイトの台詞が出て来る。
そう、確かに2年なんてそんな感じだ。
何も変わってないような時間。
でも、その2年間の時差がふたりを離ればなれにしている。
「同じ場所」にいるのに、時差が空間的な距離を遠ざけてしまう。
時間軸による遠距離恋愛、そんなちょっと不思議な物語である。
 
「なぜ、手紙だけが時を超えられるの?」という疑問がふと脳裏をかすめたが、
無論、その辺は物語の設定なので、そこに突っ込みを入れてもしょうがない。
「もし、そうだったら」というフィクションであり、寓話なのだ。
寓話は、あり得ない話ではあるが、リアリティがないわけではない。
寓話が真実を語ることは、大いに可能である。
この物語のテーマは「待つ」ことだと、映画ライターの中村明美さんが書いていたとおり、
絶対に会えるはずもない人といつか会える日を待つ、その想いが切々と描かれていく。
 
この物語では、アレックスとケイトの交流の他に、過去に軋轢が生じて今なお引きずっているアレックスと、
その父、サイモン・ワイラー(クリストファー・プラマー)との葛藤もテーマになっている。
アレックスの中では、決して許し難い過去の父と、年老いた現在の父がいて、
二人の父の間を行き来する様がまた、タイムマシーンのようでもある。
 
2年後を生きるケイトから届く、父サイモンの自伝。
その中に収められている一枚の写真は、湖畔の家の前にたたずむ父と子の後ろ姿だった。
「長男アレックスと」というコメントをみて、感極まるシーンが感動的だった。
 
タイムマシーンものは、結構、頭を使うので疲れる。
「今、どこにいるのか?」、「過去を変えたら、今がどうなるのか?」ということを始終考えていないと、頭が混乱してくる。
前半からスリリングな展開が続き、特にクライマックスは、ハラハラドキドキの連続だった。
「現在を生きるケイトが過去の男の人生を変えてしまうのか?」
現実にはあり得ない話だが、考えようによっては可能なのかもしれないとも思えた。
たとえば2年後を生きている自分や子供の頃の自分、死に直面している自分など、
過去や未来のいろいろな自分のつもりになって、「今」の自分を見ることはできるだろう。
気持ちの中で、未来に行ったり過去へ行きながら「今」を生きる、
そういうタイムマシーン的人生って、案外楽しいかもという気がした。
エンディングも含め、なかなかいい映画だったので、やはり見て損はなかった。
 
 
 
DATA
米国映画/2006年/98分/監督(アレハンドロ・アグレスティ)/脚本(デイビッド・オーバーン)/
製作(ダグ・デイビソン、ロイ・リー)/音楽(レイチェル・ポートマン)
出演(キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、クリストファー・プラマー、ディラン・ウォルシュ)