|
「キル・ビル」
−KILL BILL Vol.1−
残虐シーン満載のバイオレンス作品(R15指定)なので、苦手な人にはとてもお勧めできない。
かくいう私もバイオレンス映画は、ホラー映画と同じくらい嫌いなので、普通は観ない。
今回も「インファナル・アフェア」を見るつもりで劇場に行ったら、上映時刻が変わっていて、
たまたま観ちゃっただけである。
冒頭からバイオレンスシーンの連続で、「あーあ!」と後悔のため息が漏れたのだったが…。
タランティーノ監督作品は初めて見るが、前作の「パルプ・フィクション(94)」は、
カンヌの最高賞、パルム・ドールを受賞している。
「キル・ビル」のタイトル前に、今年他界した深作欣二監督への追悼文が出てびっくりしたが、
実は、タランティーノ監督は、日本のヤクザ映画、チャンバラ時代劇の大ファンで、
深作監督の「バトルロワイヤル」や千葉真一主演の「影の軍団」、
三隅監督の「子連れ狼」などに影響を受けているそうである。
「キル・ビル」について監督は、「60年代後半から70年代前半にみたカンフー映画やマカロニ・ウェスタン、
日本の時代劇などが元になっている。どの映画も復讐の話で血まみれだったよ」と語っている。
そういえば、映画でも復讐劇は多い。
歴史小説でも殺陣シーンは定番である。
腕を切られれば血が吹き出る。
そこを見せるか、見せずにおくか、バイオレンスか否かはそれだけの違いなのかもしれない。
残虐シーンにたじろぎつつも、観るうちに段々引き込まれてしまった。
意外にも、結構面白いのである。
昔の松竹映画の雰囲気を出すように敢えてミニチュアを使った飛行シーンとか、
過去のシーンをアニメで表現したりとか、
挿入される音楽なども斬新なものばかりで、ただのバイオレンス映画ではない見応えが随所にある。
この感覚は「アメリ」を観たときと、とてもよく似ている。
ふんだんに集められた色々なエッセンスとこだわりがリミックスされてギュッと濃縮されている感じである。
ちなみにアニメーションを担当しているのは、「攻殻機動隊」や「エヴァンゲリオン」を制作した日本の「I.G」、
武術指導は、「マトリックス」のユエン・ウーピンである。
主演ブライド役のユマ・サーマン、こちらも初めて見るが、2001年の出演作品「テープ」の予告編を観て、
とても印象に残っていた女優である。
タランティーノ監督は、「スタンバーグ監督にとってのマレーネ・ディートリッヒさ。
彼女でなきゃダメなんだ」と語っているが、
なるほど、どこか、マレーネのような面影がある。
整った美人というより、惹きつける美貌。
バイオレンスでありながら、どこかにユーモアを感じさせる映画。
すでに「キル・ビルVol.2」の公開が来春に決まっている。
今度は、ちゃんと見に行くかもしれない。
DATA
アメリカ映画/2003年/監督・脚本(クエンティン・タランティーノ)/
武術指導(ユエン・ウーピン)/アニメーション・プロダクション(I.G)/
出演(ユマ・サーマン、ルーシー・リュウ、ダリル・ハンナ、千葉真一)
|