「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」
-SOLO:A STAR WARS STORY-
映画をみるときは、できるだけ情報を入れず、先入観も期待も最小限に抑えるようにしている。
「スター・ウォーズ」シリーズのようにある程度イメージできてしまう作品は、特に要注意だ。
分母の期待値が大き過ぎれば、相対的に満足感は低下するだろうから。
帝国が支配する惑星コレリアで、ハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)が恋人キーラ(エミリア・クラーク)と
惑星逃亡を謀り、壮絶なカーチェイスをするシーンから幕を開ける。
今度のヒロイン、結構好みかも、なんて思っていたら、
つい先日DVD鑑賞したばかりの「世界一キライなあなたに」(16)の主演女優だった。
ハン・ソロは、このシリーズでも1位、2位を争う人気キャラである。
それは、ソロ役のハリソン・フォード人気に因るところが大きく、
故に別の俳優が演じる上でのハードルはかなり高い。
例えていえば、寅さんを渥美清以外の俳優でやるようなものだろう(笑)。
現に、オールデン版ソロがなかなかハリソン版のソロにつながらず、違和感がないわけではなかった。
様々なクリーチャーやドローンは観ていて楽しいものの、物語そのものはそれほど突飛なものではなく、
「スター・ウォーズ」という縛りの中で作る難しさも感じられた。
それでも、「スター・ウォーズ」を見る楽しみは、格別なものがあるが!
個人的にスイッチが入ったのは、終盤だった。
借金を返済して自由を獲得するために、未精製コアクシウムを盗みだし脱出する辺りからが、俄然、面白い。
友情、裏切り、恋愛、一か八かの賭けと見所が多く、本編にもつながるキャラクター、
スター・デストロイヤーやダース・モールらが続々登場する。
スピンオフ作品は、「ローグ・ワン」(16)に続く第2弾だが、
やはり、本編と結びつく場面で強いカタルシスがある。
昨年みた「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」(17)でも感じたが、約40年間に渡って観てきた作品ゆえに、
登場人物たちには「家族」にも似た親近感を感じ、古い友人や故人と再会したかのような懐かしさでグッとくる。
人間って、本質的な性格はあまり変わらないなぁ、と時々思う。
ハンの本質的魅力を感じたのは、クライマックスだった。
以下、ネタバレになるが、命がけで奪い取った大量のコアクシウムを、彼は帝国に略奪された人々が組織する反乱軍、
スウープ・ギャングにほぼ全て譲り渡してしまう。
自らは自由なアウトローとして生きる道を選択するが、
ここぞという時には、友を助け、正義のために戦う姿勢がカッコいい。
ラスト近く、一度は大敗したカードゲーム「サバック」に再挑戦するシーンがよかった。
ソロの隣にはチューイがいて、二人で手の内のカードを見ながら、大勝負に出る。
二人がすっかり朋友となっている姿にジーンとくる。
初めての出会いは、檻に閉じ込められたチューバッカの「エサ」として、ソロはこの大男と相対したのだったが、
そのときも力づくではなく、機転を利かせて彼を見方につけ、まんまと脱獄に成功する。
スラム街に育ったソロは、金もなく、自由もなく生きてきた。
造船所で働いていた父を若くして亡くし、亡き父の姿を追って、宇宙飛行士を夢見る少年だったのだ。
本作を見終わる頃、オールデンはハリソンとすっかり重なって見えていた。
メインストーリーは、最終話のエピソード9を残すばかりとなったが、
その間を描くスター・ウォーズ・ストーリーは、いくらでも創っていけるようにも思える。
ジョージ・ルーカスが生み出した伝説が、次世代に引き継がれ、本当の神話のように語り継がれていく過程に
立ち会えた喜びを噛みしめつつ、満足感に浸っている。
DATA
米国映画/2018年/135分/カラー/ドルビーアトモス/スコープサイズ/
監督(ロン・ハワード)/脚本(ジョナサン・カスダン&ローレンス・カスダン)/
製作(キャスリーン・ケネディほか)/音楽(ジョン・パウエル、ジョン・ウィリアムズ)/
出演(オールデン・エアエンライク、ウディ・ハレルソン、エミリア・クラーク)/字幕(林完治)