「ゲットスマート」
−GET SMART−
 
 
 
1965〜70年に全米で大ヒットしたTVスパイシリーズ「それ行けスマート」の映画版、だそうだ。
TV版を創ったのは、その後、喜劇王として名を馳せたメル・ブルックスと、
名作「卒業」(67)の脚本を書いたバック・ヘンリーのコンビ。
オリジナル版は見たことがないし、スパイ映画もコメディ映画もあまり興味が湧かないジャンルなのだが、
友人のオススメでなんとなく見たところが、
滅茶苦茶ツボにはまってしまった。
この面白さは、クセになる!
 
舞台となる米国マル秘諜報機関「コントロール」の分析官を務めるのが、
主人公のマックスウェル・スマート(スティーブ・カレル)である。
彼は、文学者のような風貌からしていかにも分析官という印象だが、
意外にも本人は、内勤の仕事よりも、現場の最前線に立ち、
危険と隣り合わせで活動する「エージェント」への転向を希望していた。
一種の憧れのようだが、コントロールのチーフ(アラン・アーキン)は、
分析官としてのスマートの能力を高く買っていたため、転向には後ろ向きだった。
ところが、コントロール本体が国際犯罪組織「カオス」の襲撃を受けたことで、
エージェントの身元が敵に知られ、新たな「エージェント86」としてスマートが任命されることになるのだった…。
 
と、あらすじを追っていっても何ということはないのだが、
スパイ映画の1つの面白みは、こうしたちょっと大袈裟な設定にあるといえる。
一般人にとっては、「暗躍する犯罪組織」だとか、「諜報員の任務」などはまるで知らない世界だから、
それをどう描こうと実はよくわからないのである。
何となく危なそう、けどちょっと覗いてみたいという辺のツボを抑えながら、
ハラハラさせたり、ホッと笑わせたり、その連続がスパイ・コメディ映画の醍醐味なのかもしれない。
 
映画が始まりスマートが登場すると、もう笑ってしまうだろう。
マジメな雰囲気とポーカーフェイスの外面とは裏腹に、猛烈な情熱を内に秘めている彼は、
抜群の行動力や情報処理能力をもっている一方、肝心なところでそそっかしい。
あまりにも対照的な二面性が実に可笑しいが、
それを完璧に演じているスティーブ・カレルが全くのはまり役である。
ヒロイン役となる整形美人の「エージェント99」に扮するアン・ハサウェイもなかなかポイントが高い。
 
人間の行為とは、真剣になればなるほど、ふと可笑しくなる瞬間があったりするが、
コメディとシリアスもそれに似ているのかもしれない。
真剣な仕事だからこそ、ちょっと遊びの感覚を入れてみたり、遊びを通じて何か大切な真理を学んだり、
一見、対極的なものを組み合わせたり融合させてみると、面白い発見があるように思う。
今までほとんど見なかったスパイ・コメディ映画の面白みを「ゲットスマート」で知ってしまった感がある。
続編をぜひぜひ、作っていただきたい!
 
 
 
DATA
米国映画/2008年/110分/監督・製作総指揮(ピーター・シーゲル)/
製作(アンドリュー・ラザー他)/脚本(トム・J・アッスル&マット・エンバー)/
キャラクター原案(メル・ブルックス、バック・ヘンリー)/音楽(トレバー・ラビン)/
出演(スティーブ・カレル、アン・ハサウェイ、ドウェイン・ジョンソン、アラン・アーキン)