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「あの子を探して」
−一個都不能少−
第56回ヴェネチア映画祭(1999年)でグランプリの金獅子賞を受賞した作品。
ときどき、こうした映画祭の受賞作と自分の感覚がずれていてガッカリすることもあるが、
「あの子を探して」は、文句なしに素晴らしい!
山深い中国の山村が舞台。
今、中国では、都市化と過疎化が進行し、山村の学校は先生も生徒も減り続けているという。
そういう社会情勢を背景に、たった一人しかいない担任の先生が1ヶ月間留守になるというので、
13歳のウェイ先生が代用教師を務めるというところから物語がはじまる。
6歳〜11歳くらいまでの28名を、ほとんど歳の差も経験もない女の子が先生になるというので、
はじめのうちはまるで授業にならないのだが、ある事件をきっかけに少しずつ変わってゆく…。
古びた校舎、土埃が立つ校庭、1本のチョークさえ無駄にできない質素な学校生活のなかで、
子供らの屈託のない笑顔が眩しいくらいに美しい。
出演した子供らはプロの役者ではなく、みんな素人ばかりで役名も本名のままのようだ。
貧しいから「金くれ、金くれ…」と子供らは金にうるさい。
ウェイ先生自身も、60元もらうために先生の仕事を引き受けてるに過ぎない。
あらゆることが金次第という状況を描きながら、
それだけではないんだということをさり気なく静かに語っているように思える。
おそらくそこがこの映画の生命線なのだと私には思えた。
少しのお金ができて、コカコーラをみんなで初めて飲むシーンも微笑ましい。
「先生も飲んで」とすすめる子供らの優しさが印象に残る。
子供らが一字一字、言葉を書いていくラストシーン。
小学生が深夜まで進学塾に通ったり、
ほとんど毎日が稽古事や塾の日程で埋め尽くされた日本の子供らと比べると、
心がホッと和み、なんとも例えようもない懐かしさと美しさに感動する。
DATA
中国映画/1999年/監督(チャン・イーモウ)/製作総指揮(チャン・ウェイピン)/
製作(チャオ・ユイ)/脚本(シー・シアンション)/
音楽(サン・パオ)/出演(ウェイ・ミンジ、チャン・ホエクー、チャン・ジェンダ)
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