「ALWAYS 続・三丁目の夕日」
 
 
 
続編は作られないはずだった「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005)の続編である。
前作で一応物語は完結し、数億円を投じて建設された「三丁目」のセットも全て壊してしまったそうだ。
それでも多くの観客から続編を望む声が強く、
同じキャスト・スタッフが再集結してくれるならという条件で、
山崎監督は続編を作ることを了解したという。
 
監督がこだわったオープニングは、
茶川(吉岡秀隆)の書いた小説のワンシーンという設定である。
予期せぬ展開と迫力で結構笑えるが、
これで観客が「続編」に期待するハードルを一旦ゼロに戻したかったという監督の目論見は、
見事に成功していた。
 
前作の4ヶ月後、昭和34年の春から、物語は始まる。
相変わらずうだつのあがらない茶川がまたまたいい味を出してて可笑しい。
実の親よりそんな茶川を慕う淳之介(須賀健太)の健気さも健在だし、
お互い惹かれ合いながらも、状況が許さず別々に暮らす茶川とヒロミ(小雪)の迷走ぶりも、
見ていて相当もどかしく、カタルシスたっぷりである。
スズキオートは、「男はつらいよ」でいうところの団子屋であろう。
社長の則文(堤真一)は、前作ではちょっとうるさすぎる親父だったが、
今作では見ている側もそれに慣れたのか、実にかっこいい見せ場も用意されている。
トモエ(薬師丸ひろ子)と元彼(上川隆也)の再会や、六子(堀北真希)の元に現れる同郷の男、
さらに小学生の初恋などなど、たくさんのエピソードがぎゅうぎゅう詰まっていて、
たっぷり2時間半楽しんで、最後にキレイな夕日を眺めて充実感たっぷりに見終えられる。
 
思えば、平成という年号にすっかり馴染んだ頃、昭和ブームが始まったように思う。
昭和が「過去」になったということだろう。
2つの戦争を通じて語られることも多いが、
やはり昭和は、今の豊かな日本を作った高度経済成長の時代として思い起こされることが多い。
シンボルとして劇中にも登場する東京タワーや特急こだまが、
日本の未来が明るいものであると暗示しているかのようだ。
山崎監督をはじめ、この映画の作り手は、映画の舞台となる昭和33〜34年を知らない世代が多い。
そのせいか、VFXをはじめ、徹底的に細部にこだわったリアリティの反面、
どこか現実離れしたファンタジーを感じさせる作品である。
 
笑いあり、涙ありで、とてもいい作品だが、
しかし、これほどヒットするのは、やはり今という時代背景があるからだろう。
長引く不景気、格差の拡大、リストラや企業買収、年功序列・終身雇用の終焉など、
将来が安定しないことに対する不安が今の社会の根っこにある。
キレイな夕日が沈むのを眺めながら、
明日昇る日がきっと希望に満ちたものであるようにと、
そんな願いが込められているのかもしれない。
音楽の美しさも相まって、なぜか泣けてくる映画である。
 
 
 
DATA
日本映画/2007年/146分/監督・脚本・VFX(山崎貴)/
エグゼクティブプロデューサー(阿部秀司、奥田誠治)/原作(西岸良平)/音楽(佐藤直紀)/
出演(吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、薬師丸ひろ子)