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「二十四の瞳」
戦後の松竹映画を支え、黒澤明と同時期を生きた日本を代表する映画監督、
木下恵介の代表作が、「二十四の瞳」である。
舞台となる小豆島に長期ロケし、地元で募集した素人の子供らが出演する。
見ていて不思議だったのは、幼少時代の子供らが同じ顔のままちゃんと背が伸びて成長していたことだった。
「何年かけて作ったの?」「まさか同一人物?」「それともそっくりさん?」
実は、実際の兄弟姉妹が出演していて、小さい頃を弟、
成長してからを兄というように撮ったということだった。ふむ!
昭和3年、小豆島に大石先生(高峰秀子)が赴任してくるところから、物語は始まる。
初めて受け持つクラスの生徒は、12人。二十四の瞳である。
大石先生は、一人一人の生徒をとても大切に想う。
家庭の事情で学校を休む生徒、貧しくてアルマイト製の弁当箱が買えない生徒、修学旅行に行けない生徒…。
それぞれ試練に直面する生徒らと一緒になって、先生自らも苦しみながら、
「何もしてあげられない」と泣きながら、必死に現実を受けとめようとする。
その真摯な姿に励まされ、生徒らも懸命に生きてゆく。
やがて戦争がはじまり、多くの命が失われてゆく。
仲良しの友達や兄弟や家族が、呆気なく次々と奪われてゆく。
戦時下の貧しい島の暮らしは、あまりに悲惨で哀しすぎるが、
なぜかこの映画は、大石先生の尊い心のように美しく、
子供らの澄んだ瞳のように清々しい印象が残る。
この映画には、たくさんの歌がでてくる。
「七つの子」「あおげば尊し」「ふるさと」…。
「ああ、日本にはこんなにも美しい歌があったのだ!」
この美しい日本人の心を、どうしても絶やしてはいけないのだ、そう思った。
DATA
日本映画/1954年/監督(木下恵介)/原作(壺井栄)/
出演(高峰秀子、月丘夢路、笠智衆、田村高廣)
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