2018
cineMa
top5
1 パディントン2(英国) PADDINGTON2
2 グレーテスト・ショーマン(米国) THE GREATEST SHOWMAN
3 恋は雨上がりのように(日本)
4 カメラを止めるな!(日本)
5 北の桜守(日本)  
 先日(3/21)、東京では桜が開花した。日によっては真冬の寒さに戻るが、もうそこまで春が来ているのだろう。いろいろ重なって、2018年も「時間がない」ままに暮れ、もう3月が終わろうとしている。桜が開花した日に、マリナーズのイチロー選手(45)が引退を表明した。その数日前(3/17)、マリナーズと巨人の親善試合を息子と見に行ったばかりだった。ヒットは出なかったが、イチロー選手の一挙手一投足が会場を埋め尽くすファンを魅了した。紛れもない世界的スーパースターだった。そろそろ引退という噂もあったが、本人は少なくとも50までやると言っていたから、突然の引退発表は驚きだった。インタビューの中で、「人より努力したとは決して言えませんが、僕なりに努力してきました。」という言葉が印象に残った。半端ない努力家である。天才がコツコツと努力を重ね続けた結果、前人未踏の数々の記録、そして記憶に残る野球人生を為し得たのだ。感動、尊敬、憧憬、畏怖の念でいっぱいになる。
 少し前の話。通りすがりの公園で、はしゃいでいる子供らの声が耳に心地よく響いた。無邪気そのものの楽しそうな笑い声。子供たちは健気である。無心であり、ひたむきである。明け透けで誤魔化しがない。そして儚く、美しい。僕は一人の大人として、彼、彼女を大事に見守っていたいと思った。すべての子供たちが幸せでいられる社会になるように、自分なりに努力していきたいと思った。イチロー選手には遙か及ばずであっても、自分なりにやっていこうと思う。
 さて、2018年に観た映画は、75本(劇場13、DVD62)。目標の100本には及ばなかった。独断と偏見で選んだベスト5の1位は、「パディントン2」。ペルーの山奥からイギリスに来た移民熊のドタバタ喜劇に、正義と寛容の素晴らしさを僕は感じる。テロと報復の悲惨な連鎖が止まらない世界に、今一番必要なメッセージだろうと思う。2位の「グレーテスト・ショーマン」は、夢を諦めないことの素晴らしさを描いていた。より劣った者、醜い者を馬鹿にし、蔑む気持ちが誰の心にも潜んでいる。それは、恐れの反作用にも思えるが、そういう負のスパライラルをはねつけるエンジンになり得るのが夢だと思えた。3位の「恋は雨上がりのように」は、小松菜奈目当てである(笑)。彼女のキャラクターにもピッタリな役柄で、大泉洋扮する店長との切ない恋模様がとても清々しくてよかった。4位の「カメラを止めるな!」は、2018年の邦画では最大の話題作といっていいだろう。視界が限定されたカメラ(映画)の特性を活かして、物の見方が180度変わってしまう醍醐味を満喫させてくれた。5位「北の桜守」は、戦時中の樺太から現代を結ぶ親子の物語。吉永小百合ならではの美しさと強さが戦争の悲しみと復興が重なって感動的であった。2018年最大の話題作といえば、「ボヘミアン・ラプソディー」であろう。クイーンは高校時代によく聴いていたので、名曲の数々の誕生秘話が見られて面白かったが、フレディー・マーキュリーのイメージが自分の中で強固にあったせいか、役者の演技に馴染めなかった感がある。最後に登場する本人のライブ映像が一番魅力的だった。他には、スター・ウォーズのスピンオフ・シリーズ「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」や「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」もとても面白かった。
 DVD鑑賞した中で印象に残ったのは、「エクス・マキナ」、シリーズ第1作「男はつらいよ」、「エレファント・ソング」、「失われた週末」、「エル・スール」、「華氏911」あたりか。昨今、急速に普及しているAIが、現代社会の負の価値観も学習してしまう話を新聞記事で読んだことがあるが、そういった怖さをリアルに描く「エクス・マキナ」は、とてもゾッとして面白かった。衝撃という点では、「エレファント・ソング」が抜きん出ていた。他者を理解すること、受け入れることの難しさ、人間という存在への愛おしさに満ちた、とても哀しい作品だった。「男はつらいよ」は、観る度に渥美清さんの才能に圧倒される。かつて日本の津々浦々にあった牧歌的な風景や暮らしの中にある人情を思い出して、幸せな気持ちになれる。もはや「古典」といっていいのかもしれない。
 先日(3/15)、国連の「世界幸福度ランキング(6回目)」が発表された。156カ国を対象に各国1,000人に「健康と寿命」「社会支援」「自由」「信頼」「寛容さ」などについて調査した結果である。日本は前回の51位から下がって54位だった。何しろ156カ国のランキングである。知らない国ばかりで比較しようもなく、54位が妥当か判断しようもないが、GDP3位の日本にしては低いという印象である。お金で幸せは買えない証左ともいえるが、一方で、経済的な不満が国政を揺るがし、対外的な軋轢を生んでいるのも事実。「人はパンのみにて生くるものに非ず」と同時に、「衣食足りて礼節を知る」のである。ちょうど今、英国訪問中の友人とLINEを楽しんでいる。その昔、米国=日本間でエアメールをしていた友人である。LINEの即時性、利便性、コスト・パフォーマンスどれをとっても優れていると実感しているが、なかなか届かないエアメールに一喜一憂したあの頃の幸福感も忘れ難きよい想い出である。人間の幸福感ほど、多様で流動的なものはないと改めて思う。