2017
cineMa
top5
1 スター・ウォーズ/最後のジェダイ(米国) STAR WARS/THE LAST JEDI
2 ぼくは明日、昨日のきみとデートする(日本)
3 SING/シング(米国) SING
4 パッセンジャー(米国) PASSENGERS
5 チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話(日本)
時々、ふと「ガープの世界」(82)を想う。初めて見た高校生の頃は、悩みも深く、己の人生の先行きについての不安と絶望と可能性と夢とが綯い交ぜになり、膨らんだり萎んだりしていた。そんな多感な青年期だったから、この映画が描く主人公ガープ(ロビン・ウィリアムズ)の眩い青春時代と人生の不思議な巡り合わせと数奇な運命に心揺さぶられ、思いっきり憧れ、心底涙したのだった。以来、何度か観ているが、それ以上に、何度も回想している。そう、今日も近所を歩きながらふと思い出して、泣きそうになった。この気持ちがどういうものかハッキリはしているものの、説明は難しい。喪失感、憧憬、儚さ、追憶といったことに関連しているが、的確な言葉が見つからない。しばらく歩きながら、結局、人は生まれて、死ぬだけだということを朧気に感じていた。生まれて、大人になり、結婚して、子供を育てて、親を看取ったら、あとは死ぬだけで、そんなにジタバタすることはない。いや、ジタバタしたっていいし、しなくてもいいというようなことを考えていた。そのあと駅前の喫茶店で日本農業新聞(2018.2.28)を読んでいたら、「断腸の思い」という言葉の由来が紹介されていた。以下、引用。「中国・晋の時代(265-420年)、ある役人が船で蜀へ行く途中、従者が猿の子を捕まえてきます。母猿は岸伝いにずっと追い駆けてきますが、百里ほどの所で船が岸に近づくと、船に飛び乗ってきます。しかしそこで息絶えてしまい、腸がずたずたにちぎれていたことが死因と判明。そのことから耐え難い悲しみを『断腸の思い』というようになりました」。この寓話の中の母猿はとうに死んでいるのに、その思いは1500年以上経った今でも「言葉」の中で生き続けていると思うと、悲しさを超えて感じるものがある。母が子を想う気持ちといえば、すぐに僕は「杜子春」を連想し、命の話となると「1リットルの涙」を思い出す。同じ日の新聞に、ロヒンギャ族難民の苦難に関する記事もあった。今まさに起きている人間の罪深い行為。自己の生存を最優先させたい欲望とその正反対にある自己犠牲的な精神。その両面をもった人間という生き物に対する好奇心が、僕が映画を観る理由の1つだと思う。
2017年に観た映画は、78作品(劇場16、DVD62)。劇場鑑賞した16作品の中から、マイベスト5を選んでみた。1位と2位は迷ったが、僅差で「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を選ぶことにした。エピソード8に当たる本作は、どちらかというと不評かもしれない。1977年に始まったスター・ウォーズは世界中に多くのファンを抱え、それぞれにスター・ウォーズ観ができあがっているので、万人が満足する作品を作ることは不可能に思える。自分も第1作目(エピソード4)を小学生時代に観て以来、ずっと公開時に観てきたので、自分史の一部のような親しみをもっている。ただ、それほど熱心なファンでもないので、「こうでなければいけない」という感覚がない分、本作を製作サイドの思惑どおりに楽しめたのかもしれない。一番の肝は、年老いたルークとレイア姫の活躍だった。新たなヒロインやダーク・ヒーローの活躍を期待した人は失望したかもしれないが、僕は、40年もかけて続いてきたルークらの活躍の最期を見届けたような気持ちになった。それは冒頭に書いた「ガープの世界」への想いに近いもので、ごく個人的な感慨のようにも思える。死が全ての終わりを意味するわけではない、というメッセージをラストシーンから受けたが、解釈は人それぞれであろうし、賛否が分かれるところかもしれない。2位の「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」は、映画の完成度はともかくとして、自分のツボにはまる作風だった。設定は「ベンジャミン・バトン」(08)と同じで、タイムトラベルを使った男女のすれ違いの話だが、主人公二人に魅力があり、心模様が丁寧に描写されていて、とても感動させられた。とりわけ、今作の福寿愛美(小松奈菜)にはすっかり魅了されてしまった。3位の「SING/シング」も大好きな作品だ!この手の作品は無数に作られているように思えるが、音楽もすばらしく、文句なく楽しめるエンターテイメント作である!4位の「パッセンジャー」は、主演がジェニファー・ローレンスだから観たってところが大きい。人工冬眠での宇宙移民中に、装置の故障で目覚めてしまう男女の物語。わざわざ莫大な資金をかけて危険な宇宙の果てに行く気が知れないが(笑)、だからこそ、映画の中で想像を超えるドラマを観るのは楽しい。5位は「チア☆ダン」。こっちは広瀬すず観たさである(笑)。スポコンものの王道ストーリではあるが、脚本もよく練られていて、徹頭徹尾大いに楽しめた。この他に印象深い作品として、「君の膵臓をたべたい」を挙げたい。先に原作を読んでいたので、比べてしまうと映画の方は尺が短い分物足りなさがあったが、主人公桜良を演じた浜辺美波の美少女ぶりは特筆ものだろう。大ヒットした「ラ・ラ・ランド」と「美女と野獣」はやや期待はずれ。ひねりがないからかなぁ。万人受けする作品がダメということは全くないのだが、時々、個人的には楽しめないという作品がある。「DESTINY/鎌倉ものがたり」も全く面白くなかった。山崎貴監督で堺雅人主演だから絶対に面白いと期待大だったのだが…。
DVDでは、見逃していた映画や古い名作などを手当たり次第観ているのだが、2017年で一番の掘り出し物は、ビリー・ワイルダーの「サンセット大通り」(50)。元々ワイルダー監督は好きだが、やっぱり、面白いなぁと感激した。社会風刺、人間への深い洞察、ユーモア、いろいろな要素が噛み合って、見応えがあった。映画史上最高とも云われる名キスシーンもあって、映画ファン必見の作品である。それと「ディア・ハンター」(78)もインパクトがあった。高校生の頃に見て、つまらなかった印象しか残ってなかったが、今観ると、やはりすごい作品である。ベトナム戦争が舞台だし、重苦しい映画なのだが、観る価値は大いにあると思う。劇中5回か6回流れるテーマ曲「カヴァティーナ」の美しすぎる旋律が、作品の悲惨さと相まって、鮮烈な印象を残す。
日々、多くの時間を職場で過ごしている。そこでの居場所、居心地というものがその人にとってとても重要な意味をもつのは当然だろう。そこでの序列や価値観が大いにものをいい、大なり小なり所属する組織のルールに縛られてしまうのも仕方ないといえる。しかし、そればっかりでは危ういと思う。過労とパワハラで命を絶った電通事件しかり、いじめを苦にした子供の自殺や自殺ほう助に見せかけた殺人事件も記憶に新しい。外へ目を向ける、或いは外へ飛び出すことで、きっと自分が活きる場所は見つかると思う。古今東西様々な映画が、そのことを教えてくれる。人は一度生まれ、一度死ぬだけだが、折角だから、悔いのないよう自由に、楽しく生きてゆきたいと思う。