「007/スペクター 」
-007/SPECTRE-
 
この冬公開の映画では、2番目の話題作である。
1番は、言わずもがな「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」であるから…。
ダニエル・クレイグ版007になって4作目になる今作は、
前作「スカイフォール」に引き続きサム・メンデス監督がメガホンを取った。
国際犯罪組織「スペクター」をタイトルに冠し、過去3作とのつながりを明らかにし、
ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)の過去の秘密にも迫っていく内容である。
が、正直なところ、前作までの登場人物と組織について今一度復習しておかないと、
なかなか理解が追いついていかなかった…。

冒頭は、メキシコシティで年に1回行われる「死者の日」の祝祭が舞台である。
これまでの作品同様、冒頭シーンは度肝を抜く仕掛けがあり、
大群衆の上空で繰り広げられるヘリコプターでの死闘は圧巻である。
ド派手なアクションをパリッと極めたスーツ姿でこなしていくところが実にカッコいい!
その後もオーストリアの雪山、深夜のローマ、サハラ砂漠、MI6がある英国と、
世界を股にかけた活躍がお約束の見所になっている。

今作では、闇の組織の解明に踏み込むと同時に、MI-6解体の危機が同時進行する。
この展開は、今夏公開された「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネーション」にもあったなぁ、
という既視感もあったが、「それを言っちゃあおしまいよぉ」と自分でツッコミを入れておいた(笑)。
幾多のスパイ映画が繰り返し作られている中で、全く似てない作品なんてほぼ皆無だろう。
面白いかどうかはストーリーよりも、アクション、ガジェット、美女、主役、悪役の魅力によるところが大きい。
そういう意味で、ダニエル・クレイグ=ボンドシリーズ4作品の中で異色なのは、第1作目「カジノ・ロワイヤル」である。
ボンドが007になる前を描いたこの作品では、基本的な道具立てが未完成であり、
ボンド自身も未成熟であり、他とは一線を画した独自のドラマが展開していて、個人的には「ベスト・オブ・007」である。
自らの愛を殺す、という第1作目のテーマは、今作で実を結ぶかのようなラストになっていて、
そこは、さりげなくよかった。

ダニエル・クレイグ本人は「スペクター」で引退したがっているという噂もあったが、
公式には、続投の意思を示しているようだ。
「カジノ・ロワイヤル」(06)から約10年が経ち、体力的な問題もあるだろうし、
もっと他の役に挑戦したいという意向もあるだろう。
クレイグが主演を務めた「ドラゴン・タトゥの女」はなかなか続編ができないが、
興行成績が思わしくなく、ギャラの問題や監督の意向などが複雑に絡み合っているようだ。
一つの映画が世に出るには、実に複雑で様々な課題をいくつもクリアしていく必要があるのだろう。
そういった努力の結晶として生み出された作品を何の苦もなく見ることができることに、
改めて感謝である。
ややマンネリ感もあるが、公開されればやはり新しいボンドを見たくなるというのは、
超ワン・パターン作品、水戸黄門や寅さんに共通する魅力があるに違いない。


DATA
米国・英国映画/2015年/148分/スコープサイズ/
監督(サム・メンデス)/プロデューサー(マイケル・G・ウィルソンandバーバラ・ブロッコリ)/
脚本(ジョン・ローガン他)/音楽(トーマス・ニューマン)/
出演(ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ、モニカ・ベルッチ/
字幕(戸田奈津子)
 

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